ユニット型ってなに?一人ひとりのリズムに合わせた生活の継続
「ユニット型ですと言われても、何が違うのか、正直ピンときません」
「入ったあと、母の毎日がどう変わるのか。そこがいちばん知りたいところです」
こう感じているご家族、多いと思います。
ユニット型で変わるのは、部屋の形よりも、一日の流れのほうです。
今日は、その毎日がどんなふうに流れるのかを、お話しします。
ユニット型ってなに
ユニット型というのは、施設の中を10人ほどの小さなまとまりに分けて、そこで暮らす形のことです。
特別養護老人ホーム(特養)でよく聞く言葉ですが、それだけではありません。ショートステイにも、老人保健施設(老健)にもユニット型があります。ここから先の話は、どの施設でもだいたい同じです。
ひとつのまとまりに、ひとりずつの個室があります。そして真ん中に、みんなが集まれる居間があります。台所やお風呂も、そのまとまりごとに付いていることが多いです。
職員も、そのまとまりに決まった人がつきます。日によって別のフロアの人が来る、ということが少ないので、顔ぶれが変わりにくいのが特徴です。
家にたとえるなら、自分の部屋があって、家族が集まる居間があって、そこにいつもの人がいる。その形を、施設の中に作っているとお考えください。
起きる時間も、お風呂も、食事も、一人ずつ違う
施設と聞くと、決まった時間に全員が起きて、みんなで並んで食事をする。そんな景色を思い浮かべる方が多いと思います。
ユニット型では、そこが変わります。起きる時間は、人によって違います。早起きの方は早く、ゆっくり眠りたい方はゆっくり。食事の時間も、きっちり揃えません。
お風呂も、大きな浴室に順番に入るのではなく、ひとりずつの浴槽で、ゆっくり入ります。家のお風呂に近い形です。
ショートステイで働いていた頃、朝の居間ではおみそ汁の匂いがしていました。ユニットの台所で作るからです。施設によって、どこまで作るかは違います。おみそ汁だけのところもあれば、ほかの料理も作っているところもあります。それでも、匂いがするだけで、そこは食堂ではなく台所になります。
できることは、ご本人にやっていただきます。手伝ってもらえる方には、手伝ってもらう。配膳でも、洗い物でも、それがその人の役割になります。暮らしを全部引き受けてしまわないことが、この形の考え方です。
仏壇もタンスも持っていける
個室なので、家で使っていたものを持ち込めます。
ショートステイで働いていた頃、担当していた方の部屋には仏壇がありました。タンスを持ってきていた方もいます。飾りとして置いてあるのではなく、家にいたときと同じように、毎日使われていました。
朝、仏壇に手を合わせてから一日が始まる。その習慣が、そのまま続いていたということです。
どこまで持ち込めるかは施設によって違いますし、大きな家具は部屋の広さとの相談になります。ただ、「施設だから何も持っていけない」ということはありません。見学に行ったら、そこは聞いてみてください。
施設の中を、家に近づける
これは、見学ではなかなか気づかないところです。
ユニット型では、壁の貼り紙をできるだけ外します。行事の予定表も、注意書きも、標語も、貼らない。理由はひとつで、家には貼り紙がないからです。
壁に案内が並んでいると、そこは「施設」になります。何もない壁のほうが、家に近い。わたしのいた施設でも、意識して外していました。
そのほかにも、照明を明るくしすぎない、テーブルクロスを使う、季節のものを置く。そういう細かいことを積み重ねて、雰囲気を作っていきます。
そうして過ごしているうちに、入居者どうしで仲良くなっていくことがあります。気の合う方どうしで、いつも同じ席に座るようになる。誰かが決めたわけではなく、自然にそうなります。これも、暮らしが続いているということだと思います。
これまでの暮らしを、家族から聞かせてもらう
ここが、ご家族にお願いしたいところです。
一人ひとりのリズムに合わせるといっても、職員は、その人がこれまでどう暮らしてきたかを知りません。だから、入るときにご家族から聞き取ります。
何時に起きていたか。朝は何を食べていたか。お風呂は朝か夜か。どんな仕事をしていたか。何が好きだったか。
聞き取った話と、施設での様子を見ながら、その人のスケジュールのようなものを作っていきます。決められた日課に本人を合わせるのではなく、その人の暮らしから日課を組み立てるという順番です。
とくに大事なのが、好みです。好きだった食べ物、好きだった曲。
これが効いてくるのは、ずっと先のことかもしれません。認知症が進んで、言葉で伝えられなくなり、寝たきりに近い状態になったときでも、好きだった曲を知っていれば、かけてあげられます。ご家族から聞いていなければ、それは分からないままです。
ショートステイで働いていた頃、そういう方がいらっしゃいました。寝たきりの方で、好きだったのは洋楽でした。
部屋で横になって過ごす時間には、スタッフが必ず曲をかけてから部屋を出る。そういうやり方にしていました。誰かの指示ではなく、ユニットのみんなで話し合って決めたことです。
ご家族から「こういう曲をかけてほしい」と希望を聞いて、そのとおりにすることもあります。
曲がかかっているあいだ、穏やかな顔をされていました。
夜は、どうなっているのか
ご家族が心配されるのは、たいていここです。
夜は、日中より職員の数が少なくなります。眠れない方や、落ち着かない方がいれば、職員が付き添います。
ひとりでは手が回らないときは、となりのユニットに応援を頼みます。フロアには夜勤のリーダーがいることもあり、その人に来てもらうこともあります。ユニットで区切られていても、夜のあいだは行き来して助け合っています。
日中は、パートの職員が入っていることも多いです。朝の起床、食事、入浴といった忙しい時間帯に、人を厚くするためです。
見学のときに「夜はどんな体制ですか」と聞いてみてください。答え方で、その施設が夜をどう考えているかが見えます。
まとめ
見学に行くと、どうしても建物と設備に目がいきます。きれいかどうか、新しいかどうか。でも、そこで流れる一日は、建物を見ても分かりません。
聞いてみるといいのは、この3つです。起きる時間は決まっていますか。部屋に何を持ち込めますか。夜はどんな体制ですか。返ってくる言葉で、その施設が暮らしをどう考えているかが見えてきます。
そして、もし入ることになったら、親御さんのこれまでを、できるだけ多く伝えてください。何時に起きていたか、何が好きだったか。それは、ご家族にしか分かりません。
ここまでの話を、1枚にまとめました。印刷して手元に置いたり、見学に持っていくときに使ってください。
よくある質問
個室だと、かえって寂しくないでしょうか?
一日を部屋で過ごすわけではありません。日中は、まとまりの真ん中にある居間で過ごす方が多いです。そこに他の入居者も職員もいます。ひとりになりたいときは部屋に戻れて、人がいるところにも行ける。その両方があるのが、この形です。気の合う方ができて、いつも同じ席に座るようになる方もいらっしゃいます。
費用は高くなりますか?
個室のぶん、部屋代は多床室より高くなります。ただ、所得や預貯金の状況によっては、食費と部屋代が軽くなる仕組みがあります。負担限度額認定といいます。詳しくは負担限度額認定とは?ショートや施設の食費・部屋代が安くなるにまとめています。
もうひとつ、介護サービスの自己負担が1か月の上限を超えたときに、超えた分が戻ってくる仕組みもあります。高額介護サービス費といいます。こちらは食費と部屋代は対象になりませんので、介護費用が高くて不安な方へ。高額介護サービス費の仕組みを解説とあわせて見てみてください。
どちらも申請しないと使えません。費用が心配な方は、申し込みの前に市区町村の窓口か担当のケアマネジャーに相談してください。
認知症があっても、ユニット型で大丈夫でしょうか?
顔ぶれが変わりにくく、同じ職員が関わることが多いので、環境の変化が苦手な方には、むしろ向いていることがあります。ただ、人によって合う合わないはありますし、施設ごとの雰囲気の違いも大きいところです。見学のときに、認知症のある方がどんなふうに過ごしているかを見せてもらうと、判断の材料になります。
面会や、家族が手伝うことはできますか?
面会の決まりは施設ごとに違いますので、そこは確認が必要です。手伝いについては、できることはむしろ歓迎されることが多いです。洗濯物を持ち帰る、季節のものを持っていく、部屋の模様替えをする。そうしたことで、部屋がその人のものになっていきます。
施設の運営の仕方や持ち込めるものは、施設によって違います。最終的なご判断は、担当のケアマネジャーや専門家にご相談ください。
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ありがとうございます!
現役のケアマネジャー(主任介護支援専門員)。在宅介護の家族に「ちょっと隣にいる人」がいたらいいなと思ってこのブログを始めました。猫のこまりとお届け中。
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