在宅介護

ユニット型ってなに?一人ひとりのリズムに合わせた生活の継続

ユニット型ってなに?一人ひとりのリズムに合わせた生活の継続

「ユニット型ですと言われても、何が違うのか、正直ピンときません」

「入ったあと、母の毎日がどう変わるのか。そこがいちばん知りたいところです」

こう感じているご家族、多いと思います。

ユニット型で変わるのは、部屋の形よりも、一日の流れのほうです。

今日は、その毎日がどんなふうに流れるのかを、お話しします。

こまり
こまり
ユニットって、なんだか工場みたいな言い方だね。部屋の名前?
とも
とも
たしかに、聞き慣れない言葉ですよね。かんたんに言うと、10人ほどで暮らす、ひとつのまとまりのことです。
こまり
こまり
10人? 施設って、もっとたくさんの人がいるんじゃないの?
とも
とも
建物全体では、そうですね。ただ、その中を10人ほどの小さなまとまりに分けているんです。そこが、暮らしの単位になります。

ユニット型ってなに

個室のベッドの向こうに、入居者が食卓を囲む居間が見えるユニット型の施設

ユニット型というのは、施設の中を10人ほどの小さなまとまりに分けて、そこで暮らす形のことです。

特別養護老人ホーム(特養)でよく聞く言葉ですが、それだけではありません。ショートステイにも、老人保健施設(老健)にもユニット型があります。ここから先の話は、どの施設でもだいたい同じです。

ひとつのまとまりに、ひとりずつの個室があります。そして真ん中に、みんなが集まれる居間があります。台所やお風呂も、そのまとまりごとに付いていることが多いです。

職員も、そのまとまりに決まった人がつきます。日によって別のフロアの人が来る、ということが少ないので、顔ぶれが変わりにくいのが特徴です。

家にたとえるなら、自分の部屋があって、家族が集まる居間があって、そこにいつもの人がいる。その形を、施設の中に作っているとお考えください。

こまり
こまり
なるほど。大きい建物の中に、小さいおうちがいくつも入ってるってこと?
とも
とも
その言い方、いちばん近いかもしれません。ここから先が本題です。この形にすると、一日の流れが変わるんですよ。

起きる時間も、お風呂も、食事も、一人ずつ違う

台所のテーブルで、職員と一緒に野菜を切る高齢の入居者たち

施設と聞くと、決まった時間に全員が起きて、みんなで並んで食事をする。そんな景色を思い浮かべる方が多いと思います。

ユニット型では、そこが変わります。起きる時間は、人によって違います。早起きの方は早く、ゆっくり眠りたい方はゆっくり。食事の時間も、きっちり揃えません。

お風呂も、大きな浴室に順番に入るのではなく、ひとりずつの浴槽で、ゆっくり入ります。家のお風呂に近い形です。

ショートステイで働いていた頃、朝の居間ではおみそ汁の匂いがしていました。ユニットの台所で作るからです。施設によって、どこまで作るかは違います。おみそ汁だけのところもあれば、ほかの料理も作っているところもあります。それでも、匂いがするだけで、そこは食堂ではなく台所になります。

できることは、ご本人にやっていただきます。手伝ってもらえる方には、手伝ってもらう。配膳でも、洗い物でも、それがその人の役割になります。暮らしを全部引き受けてしまわないことが、この形の考え方です。


仏壇もタンスも持っていける

個室なので、家で使っていたものを持ち込めます。

ショートステイで働いていた頃、担当していた方の部屋には仏壇がありました。タンスを持ってきていた方もいます。飾りとして置いてあるのではなく、家にいたときと同じように、毎日使われていました。

朝、仏壇に手を合わせてから一日が始まる。その習慣が、そのまま続いていたということです。

どこまで持ち込めるかは施設によって違いますし、大きな家具は部屋の広さとの相談になります。ただ、「施設だから何も持っていけない」ということはありません。見学に行ったら、そこは聞いてみてください。

こまり
こまり
仏壇まで持っていけるんだ。そこまで持っていけるなら、部屋の中はけっこう「うち」だね。
とも
とも
ええ。持ってきたものが多いほど、その部屋はその人のものになります。

施設の中を、家に近づける

これは、見学ではなかなか気づかないところです。

ユニット型では、壁の貼り紙をできるだけ外します。行事の予定表も、注意書きも、標語も、貼らない。理由はひとつで、家には貼り紙がないからです。

壁に案内が並んでいると、そこは「施設」になります。何もない壁のほうが、家に近い。わたしのいた施設でも、意識して外していました。

そのほかにも、照明を明るくしすぎない、テーブルクロスを使う、季節のものを置く。そういう細かいことを積み重ねて、雰囲気を作っていきます。

そうして過ごしているうちに、入居者どうしで仲良くなっていくことがあります。気の合う方どうしで、いつも同じ席に座るようになる。誰かが決めたわけではなく、自然にそうなります。これも、暮らしが続いているということだと思います。


これまでの暮らしを、家族から聞かせてもらう

ここが、ご家族にお願いしたいところです。

一人ひとりのリズムに合わせるといっても、職員は、その人がこれまでどう暮らしてきたかを知りません。だから、入るときにご家族から聞き取ります。

何時に起きていたか。朝は何を食べていたか。お風呂は朝か夜か。どんな仕事をしていたか。何が好きだったか。

聞き取った話と、施設での様子を見ながら、その人のスケジュールのようなものを作っていきます。決められた日課に本人を合わせるのではなく、その人の暮らしから日課を組み立てるという順番です。

とくに大事なのが、好みです。好きだった食べ物、好きだった曲。

これが効いてくるのは、ずっと先のことかもしれません。認知症が進んで、言葉で伝えられなくなり、寝たきりに近い状態になったときでも、好きだった曲を知っていれば、かけてあげられます。ご家族から聞いていなければ、それは分からないままです。

ショートステイで働いていた頃、そういう方がいらっしゃいました。寝たきりの方で、好きだったのは洋楽でした。

部屋で横になって過ごす時間には、スタッフが必ず曲をかけてから部屋を出る。そういうやり方にしていました。誰かの指示ではなく、ユニットのみんなで話し合って決めたことです。

ご家族から「こういう曲をかけてほしい」と希望を聞いて、そのとおりにすることもあります。

曲がかかっているあいだ、穏やかな顔をされていました。


夜は、どうなっているのか

ご家族が心配されるのは、たいていここです。

夜は、日中より職員の数が少なくなります。眠れない方や、落ち着かない方がいれば、職員が付き添います。

ひとりでは手が回らないときは、となりのユニットに応援を頼みます。フロアには夜勤のリーダーがいることもあり、その人に来てもらうこともあります。ユニットで区切られていても、夜のあいだは行き来して助け合っています。

日中は、パートの職員が入っていることも多いです。朝の起床、食事、入浴といった忙しい時間帯に、人を厚くするためです。

見学のときに「夜はどんな体制ですか」と聞いてみてください。答え方で、その施設が夜をどう考えているかが見えます。


まとめ

こまり
こまり
つまり、ユニット型は10人くらいの小さなまとまりで暮らす形で、起きる時間もお風呂も食事も一人ずつ違う。仏壇やタンスも持っていけて、壁の貼り紙もわざと外してる。それで、その人のリズムは家族から聞いた話で作る。こんな感じ?
とも
とも
そのとおりです。ひとつだけ覚えて帰っていただくなら、暮らしは、施設に入っても続くということです。

見学に行くと、どうしても建物と設備に目がいきます。きれいかどうか、新しいかどうか。でも、そこで流れる一日は、建物を見ても分かりません。

聞いてみるといいのは、この3つです。起きる時間は決まっていますか。部屋に何を持ち込めますか。夜はどんな体制ですか。返ってくる言葉で、その施設が暮らしをどう考えているかが見えてきます。

そして、もし入ることになったら、親御さんのこれまでを、できるだけ多く伝えてください。何時に起きていたか、何が好きだったか。それは、ご家族にしか分かりません。

ここまでの話を、1枚にまとめました。印刷して手元に置いたり、見学に持っていくときに使ってください。

ユニット型は、一人ひとりのリズムで暮らす まとめ図

この図を保存する(印刷用)


よくある質問

とも
とも
最後に、よくいただく質問にいくつかお答えいたします。

個室だと、かえって寂しくないでしょうか?

一日を部屋で過ごすわけではありません。日中は、まとまりの真ん中にある居間で過ごす方が多いです。そこに他の入居者も職員もいます。ひとりになりたいときは部屋に戻れて、人がいるところにも行ける。その両方があるのが、この形です。気の合う方ができて、いつも同じ席に座るようになる方もいらっしゃいます。

費用は高くなりますか?

個室のぶん、部屋代は多床室より高くなります。ただ、所得や預貯金の状況によっては、食費と部屋代が軽くなる仕組みがあります。負担限度額認定といいます。詳しくは負担限度額認定とは?ショートや施設の食費・部屋代が安くなるにまとめています。

もうひとつ、介護サービスの自己負担が1か月の上限を超えたときに、超えた分が戻ってくる仕組みもあります。高額介護サービス費といいます。こちらは食費と部屋代は対象になりませんので、介護費用が高くて不安な方へ。高額介護サービス費の仕組みを解説とあわせて見てみてください。

どちらも申請しないと使えません。費用が心配な方は、申し込みの前に市区町村の窓口か担当のケアマネジャーに相談してください。

認知症があっても、ユニット型で大丈夫でしょうか?

顔ぶれが変わりにくく、同じ職員が関わることが多いので、環境の変化が苦手な方には、むしろ向いていることがあります。ただ、人によって合う合わないはありますし、施設ごとの雰囲気の違いも大きいところです。見学のときに、認知症のある方がどんなふうに過ごしているかを見せてもらうと、判断の材料になります。

面会や、家族が手伝うことはできますか?

面会の決まりは施設ごとに違いますので、そこは確認が必要です。手伝いについては、できることはむしろ歓迎されることが多いです。洗濯物を持ち帰る、季節のものを持っていく、部屋の模様替えをする。そうしたことで、部屋がその人のものになっていきます。


施設の運営の仕方や持ち込めるものは、施設によって違います。最終的なご判断は、担当のケアマネジャーや専門家にご相談ください。

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とも 現役・主任介護支援専門員

現役のケアマネジャー(主任介護支援専門員)。在宅介護の家族に「ちょっと隣にいる人」がいたらいいなと思ってこのブログを始めました。猫のこまりとお届け中。

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