ケアマネジャーって何をしてくれる人?はじめての相談の前に知っておきたいこと
要介護認定を受けると、次にやってくるのが「ケアマネジャーを決める」という段階です。
でも、「ケアマネジャー」と聞いても、医者でも看護師でもなく、福祉事務所の職員でもない。何をしてくれる人なのか、家族目線だとぼんやりしていますよね。
このページでは、ケアマネジャーって何者で、何をしてくれて、どうやって選ぶのかを整理します。
ケアマネジャーは、介護の「設計士」
ひとことで言うと、ケアマネジャーは 介護の設計士 です。
正式には「介護支援専門員」という国家資格を持つ人。介護保険サービスを使う本人と家族のために、
- どんなサービスをどれくらい使うか
- どの事業所にお願いするか
- どんな目標で介護を進めるか
を一緒に考えて、ケアプラン(介護サービス計画) という設計図にまとめてくれます。ケアプランそのものについては ケアプランって何?誰が作って、お金はかかるの? にくわしく書いています。
家を建てるとき、どんな家にするかを決めるのは、そこに住む人ですよね。介護も同じです。ケアマネジャーは、サービスを押し付けません。こまりごとに対して提案はしますが、決めるのはご本人です。
はじめての面談で、ケアマネは何をしている?
はじめての顔合わせは、ご家族もご本人も緊張します。何を聞かれるんだろう、と身構えますよね。わたしがその場で実際にやっていることを、そのまま書きます。
まず、相談に至った経緯をうかがいます。何がきっかけで、いま何に困っているのか。そのあとに制度の説明をします。介護保険がどういう仕組みで、何が使えるのか。そのうえで、さきほどの「決めるのはご本人です」という話をお伝えします。
わたしは、家の様子や、飾ってある写真を見ています。その方の人となりを知るきっかけになるからです。相手は緊張していますからね。それをほぐすために、ちょっと話題にしてみる。
とくに緊張しているのは、ご家族よりもご本人のほうです。「これから何をやらされるんだろう」と身構えている方が多い。だから、ちょっと話をそらしてあげると、急に話してくれることがあるんです。
そうやって少し打ち解けたところで、いま何にお困りかをうかがいます。そして、それを解決するための方法——使えるサービスや、ほかの手立て——を提案します。そのうえで、これから何をしていきたいかを、ご本人・ご家族と一緒に決めていきます。
ケアマネジャーは具体的に何をしてくれる?
ざっくりこんな感じです。
1. 相談に乗ってくれる
「どうしたらいいかわからない」段階から相談OK。サービスを使う・使わないの判断もここから。
2. 介護サービスを組み立てる
デイサービス・ヘルパー・訪問看護・福祉用具レンタル・ショートステイなど、たくさんのサービスから本人に合うものを組み合わせます。
3. 事業所と契約をつなぐ
「この事業所のヘルパーさんに頼みましょう」と1か所だけを押し付けることはしません。いくつかの事業所をご紹介して、その中から選んでいただきます。「ここにお願いします」と決まったら、契約までつなぎます。家族が一軒一軒探す必要はありません。
4. 月1回、家を訪問する(モニタリング)
毎月、本人の様子を見に来ます。困っていることがあれば、その場でプランを見直します。
見ているのは、サービスがちゃんと使えているか、暮らしぶりに変わりがないか。そしてご本人だけではありません。介護しているご家族に疲れがたまっていないか、ストレスをためこんでいないか。そこも一緒に見ています。
なお、要支援の方は少し違って、訪問は3か月に1回が目安です。訪問しない月は、電話などで様子をうかがいます。
5. サービスの量・お金の上限を管理する
要介護度ごとに使えるサービスの上限額が決まっています。それを超えないように調整するのもケアマネの仕事です。
6. 病院・行政・家族のあいだに立つ
退院のとき、認定の更新のとき。介護に関わる人たちのハブになって動きます。
たとえば「親が入院しました」と電話をもらったら、わたしはまず病院の相談員に連絡します。家ではどんな暮らしをしていたかを伝えて、退院のときにサービスの調整が必要になりそうなら、カンファレンス(退院前の話し合い)を開いてほしいとお願いします。
お金はかかるの?
ケアマネジャーへの相談・ケアプラン作成は、いまのところ全額が介護保険でまかなわれています。利用者の自己負担はありません。
「相談だけで料金を取られるんじゃないか」と心配する方がいますが、その心配は不要です。サービスを使うかどうか迷っている段階でも、何度でも相談できます。
どうやって選ぶの?
ケアマネは「居宅介護支援事業所」というところに所属しています。要介護認定の結果が出ると、市町村から 事業所の一覧 がもらえます。
ここから家族が選ぶ、というのが原則です。「どこを選んでいいかわからない」とよく言われます。
ただ、実際に一覧だけで決めている方は、そう多くありません。相談を受けるなかで多いのは、知り合いから聞いた評判、地域包括支援センターからの紹介、事業所のホームページを見て、この3つです。一覧とにらめっこして決めなければいけない、ということはありません。
そのうえで、選び方のヒントを書いておきます。
1. 自宅から近いところを選ぶ
ケアマネは月1回家を訪問します。遠方だと、緊急時の対応も遅くなります。車で15分以内くらいが目安。
2. 主な事業所と「同じ系列」か「別系列」か
たとえば、デイサービスを使いたい事業所が決まっているなら、その事業所と同じ系列の居宅介護支援事業所を選ぶと連携がスムーズです。逆に、いろんな事業所を中立に使いたいなら、独立系を選ぶ手もあります。
3. 情報公表システムで特徴を知る
厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」で居宅介護支援事業所を検索すると、選ぶ前に分かることがあります。
- 営業日・営業時間 … 土日や夜に連絡がつくかどうか
- ケアマネジャーの人数 … 複数いる事業所は、担当が不在のときも事業所として対応してもらえたり、事業所の中で相談し合えたりします
4. 合わないと感じたら、まず伝えてみる
使ってみて気になることが出てきたら、まずはそれを伝えてみてください。「もう少し早く連絡がほしい」「いまの説明が分かりにくかった」。言ってもらえれば直せることは、けっこうあります。
それでも合わないときは、担当を変えることもできます。「お願いしてしまったから抜けられない」ということはありません。事業所に「変更したい」と伝えるか、別の事業所に新しく契約し直せばOKです。
実際に「担当を変えたい」と言われたとき、わたしがしているのはこうです。まず理由をうかがいます。そして、至らなかったことをお詫びします。そのうえで、どんなケアマネジャーがいいかをうかがって、うちの事業所で対応できそうならその旨をお伝えし、難しそうならほかの事業所をいくつかご紹介します。言い出したほうが悪い、ということはありません。
ケアマネジャーに伝えておくと喜ばれること
うまく付き合うコツも書いておきます。これはわたしの本音でもあります。
- 家族構成・キーパーソン(誰が最終判断する人か)
- 本人の生い立ち・好きなこと・性格(プラン作りのヒントになる)
- 家族の働き方・帰宅時間(サービスを入れる時間帯の参考になる)
- 過去の病気・入院歴
- お金の事情(自己負担にどこまで耐えられるか)
- 家族の中の役割分担と、もめている点
「もめている点」って書きにくいかもしれませんが、ケアマネは家族のあいだに立つことが多いので、最初に話してもらえると助かります。
まとめ
ケアマネジャーは、在宅介護の 専属の相談相手 でもあります。一緒に走ってくれる人なので、遠慮せず、たくさん使ってください。
よくある質問
相談したら、必ずサービスを使わないといけませんか?
そんなことはありません。提案はしますが、決めるのはご本人とご家族です。「話は聞いたけれど、今回は見送ります」でまったく構いません。話を聞いておくだけでも、次に困ったときの動き方が変わります。
要支援でも、ケアマネジャーはついてくれますか?
つきます。要支援の方のケアプランは介護予防サービス・支援計画表といいます。作るのは地域包括支援センターの職員のほか、センターから委託を受けた居宅介護支援事業所のケアマネジャーが担当することもあります。市町村の指定を受けた居宅介護支援事業所が直接担当する形もできました。迷ったらまず地域包括支援センターに電話すれば、担当につないでもらえます。
ケアマネジャーは、自分の会社のサービスを勧めてきませんか?
提案はしますが、押し付けるものではありません。気になるときは、「ほかの事業所も見てみたい」と伝えて大丈夫です。見学してから決めることもできます。言いにくければ、その言いにくさごと話してもらえれば大丈夫ですよ。
現役のケアマネジャー(主任介護支援専門員)。在宅介護の家族に「ちょっと隣にいる人」がいたらいいなと思ってこのブログを始めました。猫のこまりとお届け中。
この人について →