親が物忘れし始めた…と思ったら、家族が最初にやる5つのこと
最近、親と話していて「あれ?」と感じることが増えた。
- 同じ話を何度もする
- さっき話したことを覚えていない
- お財布や鍵を頻繁になくす
- 約束をすっぽかすことが増えた
- 通帳・保険証の場所がわからなくなる
こうした変化は、年齢のせいだとも、認知症のはじまりだとも、はっきり言えない時期があります。家族としては、「気のせいかな」と思いたい気持ち と、「もしかしたら…」という不安 のあいだで揺れます。
このページでは、その揺れているあいだに、焦らずやっておきたい5つのことを整理します。
まず、家族が知っておきたい「3つの区別」
医療や介護の世界では、物忘れをざっくり3つに分けて考えます。
| 種類 | 特徴 | 例 |
|---|---|---|
| 年相応の物忘れ | 体験の「一部」を忘れる。指摘されると思い出せる | 「昨日のごはん、なんだっけ?」→「カレーだったよ」→「ああそうだ」 |
| MCI(軽度認知障害) | 物忘れはあるが、生活に大きな支障はない。グレーゾーン | 約束を忘れることが増えた、料理の手順が雑になった |
| 認知症 | 体験の「全部」を忘れる。指摘されても思い出せない。生活に支障が出る | 「昨日のごはん、なんだっけ?」→「カレーだったよ」→「カレーは食べてない」 |
ここからは、「ちょっと気になる」段階で家族ができる5つのことです。
①「気になったこと」を日付つきでメモする
これがいちばん大事です。
物忘れは、毎日ちょっとずつ進むので、家族の頭の中だけだと「だんだん」がわかりません。気になったことを、ちょっとした記録に残しておくと、後で病院や地域包括支援センターに相談するときに、すごく役に立ちます。
メモするのはこんなこと。
- 日付
- 何があったか(「同じ話を3回した」「鍵をなくして30分探した」)
- 本人の様子(焦っていたか、平然としていたか)
- そのとき家族がどう感じたか
スマホのメモアプリでOK。LINEのグループ(家族用)に書き込むのも手です。
「もしかして?」と思ったときから、1〜2か月の記録があると、医師に状態を伝えやすくなります。
②かかりつけ医に「物忘れが気になる」と伝える
専門医にいきなり行く必要はありません。まずは ふだんの内科のかかりつけ医 に、家族が「最近、こんな様子で」と伝えてください。
ポイントは、家族が伝える こと。本人だけだと「大丈夫です」と言ってしまうことが多いので、家族の客観的な情報が大事になります。
「物忘れが気になる」と伝えると、
- 簡単な物忘れチェックをしてくれる(長谷川式やMMSEなど)
- 必要なら専門医(神経内科・精神科・もの忘れ外来)を紹介してくれる
- 関連しそうな病気(甲状腺、ビタミン不足、薬の副作用など)も一緒にチェックしてくれる
実は、物忘れの原因が「認知症じゃない別の病気」だった、というケースもあります。脱水・薬の飲み合わせ・うつ・甲状腺機能の低下などで、認知症のような症状が出ることがあるんです。治せるものなら早く見つけたい。だから、最初に医師にかかることが大事です。
③地域包括支援センターに電話してみる
これは「親の認定もしてない」「介護保険使ってない」段階でもOK。地域包括支援センターは 65歳以上の高齢者と家族の、なんでも相談窓口 です。匿名相談もOK、無料です。
電話で伝えること(決まった台本はないけど、こんな感じ):
- 「親(〇〇市在住、〇歳)の物忘れが気になっています」
- 「家族として、何をしておけばいいか相談したくて」
すると、
- 近所のもの忘れ外来の情報
- 認知症初期集中支援チームというのがある自治体での流れ
- 介護保険の申請のタイミング
- 家族向けの認知症カフェの情報
など、その地域に合わせて教えてもらえます。
電話番号がわからなければ「〇〇市 地域包括支援センター」でネット検索すれば出てきます。
④通帳・印鑑・保険証・年金手帳の場所を、家族で共有する
物忘れがはじまっている時期にやっておくと、後がだいぶラクです。
- 預金通帳・印鑑のありか
- 年金手帳・年金額
- 健康保険証・介護保険証
- 加入している保険(生命・医療・損害)
- 持ち家か賃貸か、賃貸なら大家さんの連絡先
- 主治医・服用中の薬
これを 本人と家族で一緒に書き出して、紙またはデジタルで共有 しておく。本人が自分の意思で動けるあいだ にやっておくと、認知症が進んだあとに家族が困らなくて済みます。
「お金の話は本人に切り出しにくい」という家族は多いです。コツは、
- 「親のため」ではなく「自分(子)が、もしものとき動きやすいから」と伝える
- いきなり全部聞かない。1日1テーマでOK
- 紙1枚にまとめて、本人にも控えを渡す
⑤家族のあいだで「方針」を話し合う
これも早ければ早いほどラクです。物忘れが進んでからだと、家族間でモメる原因になります。
話し合っておきたいテーマ:
- 誰がキーパーソンになるか(医師や行政の連絡先)
- 介護費用は誰がどう負担するか
- 施設入居の選択肢を考えるか、在宅で見るか
- 看取りはどこで迎えたいか(これは本人の意思も含めて)
全部いま決めなくていいです。話題に出すことに意味があります。「いつかは話し合わないとね」と家族のあいだで共有するだけで、いざというとき動きが全然違います。
やってはいけないこと
逆に、家族がやってしまいがちで、本人を追い詰めるパターンもあります。
- 本人を責める(「またそれ言った!」「さっき言ったでしょ!」) → 本人は「忘れている」ではなく「言われていない」と感じている。責められると萎縮します
- 試す(「昨日のごはん何食べた?」と確かめる) → 本人にとっては試験。プライドが傷つき、人を避けるようになります
- 黙って病院に連れて行く → 「だまされた」と感じて、その後の通院が難しくなります
代わりにできること:
- 思い出せないときは、自然にヒントを足す(「カレー、おいしかったね」)
- 何度同じ話をしても、はじめて聞いたように聞く
- 病院に行くときは「健康診断のついでに」「家族みんなで」など、自然な理由をつけて
まとめ
①日付つきでメモする
②かかりつけ医に伝える
③地域包括支援センターに電話
④通帳・印鑑の場所を家族で共有
⑤家族で方針を話し合う
だね。
①だけなら、今日からでもできます。
物忘れが気になりだす時期は、家族にとってけっこうしんどい時期です。誰にも相談できず、ひとりで抱える人が多い。
でも、相談先はちゃんとあります。地域包括支援センターも、かかりつけ医も、わたしたちケアマネジャーも、その入り口です。
ひとりで抱えないでください。
現役のケアマネジャー(主任介護支援専門員)。在宅介護の家族に「ちょっと隣にいる人」がいたらいいなと思ってこのブログを始めました。猫のこまりとお届け中。
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