在宅介護 (2026年8月14日 更新)

要介護認定の申請から認定まで、家族がやることをやさしく解説

要介護認定の申請から認定まで、家族がやることをやさしく解説

親が急に弱った、退院後に動けなくなった、認知症の症状が出てきた——。

そんなとき、家族はまず「どこに相談すればいいのか」「お金はどうなるのか」「サービスはどうやって使うのか」がわからなくて、立ち止まります。 どれも急には決められないことなのに、状況のほうは待ってくれない。焦る気持ちだけが先に来ます。

その「最初の一歩」になるのが、要介護認定の申請です。 このページでは、申請から認定までの流れを、家族目線でやさしく整理します。

とも
とも
こんにちは。今日は「要介護認定の申請」についてお話しします。介護がはじまるとき、いちばん最初に出てくる手続きです。
こまり
こまり
ようかいにんてい?よ・う・か・い…って、なんか妖怪っぽいね。
とも
とも
妖怪じゃないよ。「要介護(ようかいご)認定」。介護がどのくらい必要かを、市町村が判定してくれるしくみです。これが出ないと、介護保険のサービスが使えないんです。

要介護認定って、ざっくり言うと?

「介護がどれくらい必要な状態か」を、住んでいる市町村が判定する制度です。

判定の結果は、軽いほうから順に、

  • 自立(介護保険サービスは使えない)
  • 要支援1〜2(少しサポートがあると安心なレベル)
  • 要介護1〜5(日常生活にしっかり介護が必要なレベル)

の8段階に分かれます。

こまり
こまり
数字が大きいほうが、たいへんなの?
とも
とも
そうです。要介護5がいちばん介護が必要で、要支援1がいちばん軽い。判定によって、受けられるサービスの量と、自己負担の上限が変わります。

(自己負担の割合そのものは、収入によって決まります。詳しくは介護保険の自己負担はいくら?1割・2割・3割の決まり方と上限をご覧ください)

申請の場所は?

申請する正式な窓口は、お住まいの市区町村の介護保険担当窓口 です。

  • 役所の「介護保険課」「高齢者福祉課」など、自治体によって名称はちがいます

「どう申請していいか分からない」「本人が動けない」「申請の前にちょっと相談したい」というときは、地域包括支援センター(中学校区にひとつあるイメージ)に 相談 してください。地域包括支援センターは 申請先ではなく相談先 ですが、

  • 申請書のもらい方を教えてくれる
  • 申請を代行してくれる(窓口に出すのを代わりにやってくれる)
  • 認定後の動き方まで一緒に考えてくれる

など、申請の準備をまるごとサポートしてくれます。まず迷ったら、地域包括支援センターに電話で相談 から始めると安心です。

申請に持っていくもの

  • 介護保険被保険者証(65歳になると市町村から送られてきます。色やデザインは自治体ごとに違います。65歳未満なら、医療保険の保険証)
  • 主治医の情報(病院名・主治医名)

主治医の情報は、後で市町村が「主治医意見書」というのを取り寄せるのに使われます。かかりつけ医がいない場合は、申請前にひとつ決めておくとスムーズです。

(65歳未満の方が介護保険を使えるかどうかは、40〜64歳でも介護保険が使える?第2号被保険者と特定疾病のことで整理しています)

こまり
こまり
本人が窓口に行けないときはどうするの?
とも
とも
家族が代行で申請できます。本人の同意があれば大丈夫。家族がいないときは、ケアマネジャーや地域包括支援センターに代行をお願いすることもできます。

申請から認定までの流れ

ざっくりこんな流れです。

  1. 申請(家族か本人が窓口へ。書類提出。代行もOK)
  2. 訪問調査(市町村の調査員が、本人の自宅を訪問して聞き取り。30分〜1時間)
  3. 主治医意見書(市町村が主治医に直接依頼。家族の手間はなし)
  4. 一次判定(コンピュータで仮の判定)
  5. 二次判定(介護認定審査会で最終判定)
  6. 結果通知(申請からだいたい 30日以内 に郵送で届く)

訪問調査のときに気をつけたいこと

ここがちょっと注意です。

訪問調査は、本人が「いつも通り」に答えてくれることが理想です。でも、本人は「しっかりしているところを見せたい」と気を張ってしまいがちで、実際よりも元気な様子で受け答えしてしまうことがよくあります。

その結果、本当はもっと介護が必要なのに、軽めの判定が出てしまう、というケースがあります。

こまり
こまり
そういうとき、家族はどうしたらいいの?
とも
とも
ご家族も、できるだけ同席してください。ただ、その場で「いや、できてないでしょ」と言うのは避けてほしいんです。本人の前で否定されると、それだけで傷ついてしまいますから。

調査員の方も慣れていて、伝えづらいことは場所を変えて聞き取ってくれることがほとんどです。

立ち会っていてそれが無かったときは、わたしは調査員に目で合図を送って、本人への聞き取りが終わったあと、玄関先で「普段はこうなんです」とお伝えするようにしています。本人に聞こえないところで、事実だけを伝える。それだけで十分です。

家族がメモしておきたいのは、たとえばこんなこと。

  • 食事はひとりで準備・摂取できているか
  • お風呂はひとりで入れているか
  • トイレの失敗が増えていないか
  • 夜中に起きて動き回ることはないか
  • 同じことを何度も言うか
  • 火の始末は安全にできているか
  • 薬は飲み忘れずに飲めているか

「ちゃんとできている」と本人が言っても、実際は違うことがよくあります。事実を冷静に書き出しておくと、調査員に正確に伝えやすくなります。書いたものを渡すほうが、その場で口に出すより、本人を傷つけずにすみます。

結果が出るまでにサービスは使える?

「申請してから結果が出るまで30日くらい」と聞くと、その間どうするのか心配になりますよね。

実は、申請日にさかのぼってサービスが使えるしくみになっています。

緊急性が高いとき(退院日が決まっている、すでに介護で家族が限界、など)は、暫定(ざんてい)ケアプラン という形で、認定結果を待たずに介護サービスを使い始めることができます。これは申請したときに地域包括支援センターやケアマネジャーに相談すれば段取りしてもらえます。

わたしの場合は、必要なサービスがあれば先にご提案して、本人・ご家族の意向をうかがったうえで、事業所と調整します。

そのときに必ずお伝えしているのが、想定していた介護度より軽い結果が出たときに、どのくらい限度額をオーバーして、自費がいくらになるかです。金額を先に見ていただいたうえで、使うかどうかを決めてもらいます。あとから「そんな話は聞いていなかった」となるのが、いちばん申し訳ないからです。

(このとき作られる計画そのものについては、ケアプランって何?誰が作って、お金はかかるの?もあわせてどうぞ)

結果に納得できないときは

判定結果が「自立」だったり、「要介護1だと思ったら要支援2だった」というように、家族の感覚と違うことがあります。

わたしがまずやるのは、認定の内容を市町村に開示してもらうことです。ほとんどの市町村で、認定調査の内容を確認させてもらえます。それを見て、調査がきちんと行われているか、今の状態と食い違っている項目がないかを確かめます。

そのうえで、内容も結果もそぐわないようであれば、本人・ご家族の意向をうかがって区分変更申請をします。

「結果に納得がいかない」と感じたら、まずこの開示の話をしてみてください。担当のケアマネジャーがいれば手続きを一緒に進められますし、まだ決まっていなければ、地域包括支援センターや市町村の窓口が相談先になります。

制度としては不服申し立て(都道府県の介護保険審査会へ判定そのものの見直しを求める手続き)もありますが、わたしはこれまで一度も行ったことがありません。区分変更のほうが早く動くからです。

「最近もっと悪くなった」と感じたら、認定の有効期間中でも区分変更を申請できます。

認定の有効期間は?

最初の認定は 原則6か月(市町村の判断で3〜12か月の範囲で変動することがあります)。その後の更新は 原則12か月(3〜48か月の範囲)。

期間が切れる前に、市町村から「更新申請」の案内が届きます。

ただ、保険者(介護保険を運営している市町村のこと)によって運用の仕方が異なり、わたしの地域では案内は届きません。かわりにケアマネジャーが認定の期間を管理することになっていて、満了が近づいたら、こちらから本人・ご家族にお伝えして、更新の手続きをお手伝いします。同じような自治体は、ほかにもあると思います。

更新の時期は、介護保険被保険者証に書かれている有効期間で確認できます。担当のケアマネジャーがいる方は、「うちの更新はいつですか」と聞いてみてください。案内が届く地域なのかどうかも、あわせて教えてもらえます。

状態が変わったら、更新を待たずに区分変更を申請できます。

まとめ

こまり
こまり
えーっと、つまり。
①役所の介護保険窓口に申請(地域包括支援センターで相談・代行もOK)。
②書類を出して、訪問調査を受ける。
③だいたい30日で結果が届く。
④結果が出るまでもサービスは使えることがある。
⑤納得いかなかったら区分変更できる。
あってる?
とも
とも
完璧です。申請に迷ったら、まず地域包括支援センターに電話で 相談 するところから。市役所で住所と本人の年齢を伝えれば、近くのセンターを教えてくれます。

介護は、いきなり全部を背負わなくて大丈夫です。要介護認定の申請という最初の一歩を踏み出すと、ケアマネジャーやヘルパーさんなど、力になってくれる人たちにつながっていきます。

その入口が、この申請です。

ここまでの話を、1枚にまとめました。印刷して手元に置いたり、ご家族で見ながら話すときに使ってください。

要介護認定 申請から認定までの流れ。1申請、2訪問調査、3主治医意見書、4一次判定・二次判定、5結果通知。待っている間も暫定ケアプランで使える/申請は無料/納得できないときは認定内容の開示から区分変更へ

この図を保存する(印刷用)

この記事で触れた内容は、制度の概要です。市町村によって運用が異なることがあります。最終的なご判断は、担当のケアマネジャーや主治医、お住まいの市区町村の窓口にご相談ください。


よくある質問

とも
とも
最後に、よくいただく質問にいくつかお答えいたします。

申請にお金はかかりますか?

かかりません。申請そのものも、主治医意見書の費用も、自己負担はありません。介護保険サービスの利用料がかかるのは、認定が出てサービスを使いはじめてからです。

結果が届くまで、本当に30日ですか?

原則は30日以内です。ただし、主治医意見書の返送や審査会の日程の都合で延びることがあります。その場合は市町村から延期のお知らせが届くことになっていますので、届いたら「いつごろになりそうか」を窓口に聞いてみてください。急ぐ事情があるときは、申請のときにその事情も伝えておくと動きが変わることがあります。

認定調査に、家族が同席できません。

普段の様子を書いたものを、事前に調査員か窓口に渡しておく方法があります。同席できる日を調整してもらえることもありますし、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターが立ち会えることもあります。まずは「同席できない」と伝えるところからで大丈夫です。

「自立」という結果でした。何も使えませんか?

介護保険のサービスは使えませんが、市町村の総合事業(通いの場・生活支援など)や、地域の支え合いの仕組みを紹介してもらえることがあります。地域包括支援センターに相談してみてください。状態が変わったときは、あらためて申請できます。

介護度が思ったより軽く出ました。すぐ区分変更したほうがいいですか?

先に、認定の内容を開示してもらって確認するのがおすすめです。調査の内容と今の状態が食い違っているようなら、そこが相談の材料になります。担当のケアマネジャーがいれば、一緒に見てもらえます。

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とも 現役・主任介護支援専門員

現役のケアマネジャー(主任介護支援専門員)。在宅介護の家族に「ちょっと隣にいる人」がいたらいいなと思ってこのブログを始めました。猫のこまりとお届け中。

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