在宅介護

悩んで、迷って、みんなで話しあって決めたことだから… 【看取りのはなし】

悩んで、迷って、みんなで話しあって決めたことだから… 【看取りのはなし】
とも
とも
今日は、ちょっとだけ重たい話をしようと思います。「あのとき、あれでよかったのかな」って、ふと思い出す方に、読んでほしくて。
こまり
こまり
…うん。なんか、聞いたことある。「もっと早く病院に連れて行けばよかった」とか、「施設じゃなくて家で看ればよかった」とか。
とも
とも
そうですね。わたしも、ご家族からそういう言葉を何度も聞いてきました。だから今日は、あの選択は正解だった、って、はっきり言いたいんです。

「あれでよかったのか」という問いが生まれるわけ

大切な人を見送ったあと、あるいは看取りの場面のただ中で、頭に浮かぶことがあります。

「最期は家で看てあげたかった」
「でも施設に入ってもらってよかったのかな」
「延命を断ったのは、正しかったのか」

こういった問いは、後悔のように見えて、後悔じゃないとわたしは思っています。それは、それだけ真剣にその人のことを考えたから出てくる問いです。

どうでもいい相手のことで、人はそこまで悩みません。

こまり
こまり
でも、「あのとき違う選択をしていたら」って考えちゃうのは、しょうがなくない?
とも
とも
しょうがないです。人は「もうひとつの未来」を想像できる生き物ですから。でも、その「もうひとつの未来」は実際には存在しない、想像の世界の話なんですよね。

「違う選択をしていたら、もっとよかったかもしれない」という考えは、どこまで行っても確かめられません。もし別の道を選んでいたとしても、そこには別の後悔が生まれていたかもしれない。どちらの未来も、今となっては誰にもわかりません。

わかるのは、あのとき家族が持てる情報を集めて、悩んで、相談して、選んだ、という事実だけです。


「適当に選んだわけじゃない」という大前提

ここで、大事なことを確認させてください。

介護や看取りの場面での選択は、たいていものすごく考えた末の選択です。

病院に相談した。ケアマネジャーに話を聞いた。きょうだいで何度も話し合った。夜中にひとりで調べた。そういう積み重ねの上に、あの選択があるはずなんです。

「情報が足りなかった」と感じる方もいるかもしれません。でも、当時の自分が知りえた情報の中で、できる限り考えた。それは事実です。

こまり
こまり
でも「もっと情報を集めるべきだった」って思う人もいるんじゃないの?
とも
とも
それ、ここ大事なところです。「もっと情報を集めるべきだった」という反省は、あとから振り返るから言えることなんですよ。その時点での自分は、その時点でできることをやっていた。それ以上でも以下でもない。

介護の現場では、判断を迫られる場面が突然やってきます。「明日までに決めてください」「今夜、ご家族で相談して」という場面が、珍しくない。

だから、あのとき選べた中から選んだ、というのが正確な表現です。無数の選択肢の中から気まぐれに選んだわけじゃない。あのときの家族にとって、それがいちばんいいと思えた選択肢を選んだ。

そういう選択を、なぜ間違いと呼べるんでしょう。


「正解」は選んだ後に作られていく

もうひとつ、伝えたいことがあります。

「正解の選択をした」というより、「選んだ選択を正解にしてきた」という見方もできると思っています。

施設に入ってもらうことを選んだなら、そこで少しでも笑顔でいてもらえるように面会に通った。在宅で看ることを選んだなら、最後まで手を握っていた。延命処置をしないと決めたなら、そのそばでずっと付き添っていた。

選択のあとに、家族はいつも何かをし続けています。その行動のひとつひとつが、あの選択を正解に変えていくんだとわたしは思います。

こまり
こまり
あ、なんかわかった。正解かどうかって、選ぶ前に決まってるんじゃなくて、選んだ後の行動も含めて決まってくる、ってこと?
とも
とも
そうです、こまり。そのとおり。選んだ瞬間に正解か不正解かが決まるんじゃなくて、その後の時間も全部ひっくるめて、あの選択だったんです。

悩んだあなたを、責めないでほしい

最後に、これだけ言わせてください。

介護の選択で悩むのは、愛情があるからです。大切に思っているからです。

「もっとうまくできたんじゃないか」と思う気持ちは、その人を大事にしていた証拠です。そういう気持ちを持てること自体、すごいことだとわたしは思います。

ただ、その気持ちが「自分を責める材料」になってしまうのは、見ていてつらいです。

悩んで、迷って、話し合って、それでも決めた。それは、家族にできる最善を尽くした、ということです。

最終的なご判断や、今まさに悩まれていることについては、担当のケアマネジャーや主治医など、信頼できる専門家にもぜひご相談ください。一人で抱えなくていいんです。

とも
とも
あなたの選択は、あなたの愛情の形です。それを誰かが間違いだと言う権利は、誰にもない。わたしはそう思っています。
こまり
こまり
…うん。つまり、悩みながらも一生懸命選んだんだから、それはもう正解なんだよ、ってこと。自分を責めなくていいよ、って話だね。

この記事は、今まさに選択に悩んでいる方にも、見送ったあとで揺れている方にも、届いてほしいと思って書きました。どうか、ご自身をやさしく扱ってあげてください。

🐾
とも 現役・主任介護支援専門員

現役のケアマネジャー(主任介護支援専門員)。在宅介護の家族に「ちょっと隣にいる人」がいたらいいなと思ってこのブログを始めました。猫のこまりとお届け中。

この人について →

こちらもどうぞ