点滴はした方がいい?看取り期に家族が悩む選択について
「水も飲めなくなってきた。点滴をお願いした方がいいんじゃないか…」
そんな思いで、夜も眠れない家族の方がたくさんいます。 大切な人が弱っていく姿を前にして、「何かしてあげたい」と思うのは当然のことです。
今日は、看取り期の点滴をめぐる選択について、賛否を決めつけることなく、一緒に考えていきたいと思います。
なぜ点滴が話題になるのか
食事の量が減り、水分もあまり取れなくなってくると、家族の方は強い不安を感じます。
「このままでは脱水になるんじゃないか」 「栄養が足りなくて、もっと早く弱ってしまうんじゃないか」
そう感じるのは、とても自然なことです。 「点滴をお願いする=できることをしてあげる」という気持ちが働くのも、愛情からきているものです。
ただ、看取り期(生命の終わりが近づいている時期)における点滴は、回復を目的とした点滴とは少し性質が異なります。医療の現場でも、「どうするか」を家族と丁寧に話し合うことが大切にされています。
点滴を行う場合
点滴には、一定の意味があります。
- 脱水の改善:水分・電解質(体内のミネラルバランスのこと)を補うことで、口の渇きやだるさが和らぐ場合があります。
- 意識がはっきりする時間が増える:水分補給によって少し元気が出て、会話ができる時間が生まれることもあります。
- 「何かしてもらっている」という安心感:家族にとって、点滴をしていることが「ちゃんとケアされている」という気持ちにつながることもあります。
特に、まだ体力が残っていて、回復の可能性がある状態のときは、点滴が体の助けになる場面も多くあります。
点滴を行わない場合
看取りが近い段階では、点滴をしないという選択も、決して「見捨てること」ではありません。
身体が弱っていくと、水分を処理する力も落ちてきます。そのため、点滴で水分を入れすぎると、むくみ(浮腫)や、肺に水がたまること(肺水腫) につながるリスクが出てきます。
また、点滴の針を刺したまま過ごすことは、本人にとって不快感や痛みを伴うこともあります。
自然な経過を重視する考え方では、
- 体が水分を必要としなくなっていくのは、自然なプロセスのひとつである
- 無理に補給するよりも、口のケア(唇や口腔の乾燥を和らげること)などで、苦痛を減らすことを優先する
- 穏やかな最期のために、余計な処置を減らす
という視点を大切にします。
これは「何もしない」ではなく、「苦痛を最小限にする」という積極的なケアのあり方です。
大切なのは「本人らしさ」
本人の希望、家族の思い、医師や看護師・ケアマネジャーなどの専門家の意見。 それらをすり合わせながら、チームで考えていくことが、いちばん大切なプロセスです。
一人で抱え込まないでください。 悩んでいること自体が、本人への深い愛情の表れです。
まとめ
点滴をするかしないかで、家族の方が自分を責める必要はありません。 どちらの選択も、本人を思ってのことであれば、それは間違いではないはずです。
「何かしてあげたい」という気持ちは、点滴かどうかだけにあるのではなく、そばにいること、手を握ること、声をかけることにも、ちゃんと宿っています。
ご相談はお早めに
食事・水分が減ってきたと感じたら、一人で悩まずに、早めに担当の医師や訪問看護師に状況を伝えることをおすすめします。 最終的な判断は、担当のケアマネジャーや医師・看護師などの専門家にご相談ください。 家族だけで結論を出す必要はありません。一緒に考えてくれる人たちが、そばにいます。
現役のケアマネジャー(主任介護支援専門員)。在宅介護の家族に「ちょっと隣にいる人」がいたらいいなと思ってこのブログを始めました。猫のこまりとお届け中。
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