親のかかりつけ薬局、決めていますか?お薬手帳と在宅医療との連携
「お父さん、ここの病院の薬はここ、あそこの病院の薬はあの薬局で…」
複数の病院にかかっていると、薬をもらう薬局もバラバラになりがちですよね。 でも、それが思わぬリスクにつながることがあります。
介護が始まると、薬のことは家族がフォローしなければいけない場面も増えてきます。 今日は「かかりつけ薬局」について、役割から選び方まで、やさしく整理していきます。
かかりつけ薬局ができること
薬の一元管理と相互作用チェック
相互作用(そうごさよう)とは、ふたつ以上の薬を一緒に飲むと、効きすぎたり、逆に効かなくなったりする現象のことです。
たとえば、高血圧の薬・血をサラサラにする薬・胃薬・骨粗しょう症の薬…。あちこちの病院に通っているうちに、気づけば10種類以上の薬を飲んでいた——ケアマネジャーとして働いていると、そういう方に本当によく出会います。 それだけの薬が複数の病院からバラバラに出されていると、全体を見渡す人がいなくなってしまいます。
かかりつけ薬局にまとめることで、薬剤師さんが処方の全体像を把握して、気になる点があれば医師に問い合わせてくれることもあります。
お薬手帳をフル活用できる
お薬手帳は、もらった薬の記録を貼り付けるための手帳です。 救急搬送されたときや、かかりつけ以外の病院を受診したときに「今どんな薬を飲んでいるか」を素早く伝えられます。
一か所の薬局に通い続けていると、お薬手帳の履歴もきれいに積み重なっていきます。 最近はアプリのお薬手帳もありますが、紙でも十分機能します。親御さんのカバンに1冊入れておくのがおすすめです。
「飲み間違えた」「飲み忘れた」も相談できる
薬のことで、こんな場面はありませんか。
- 「間違えて2回分飲んでしまったみたい。どうしよう」
- 「飲み忘れに気づいたけど、今から飲んでいいの?」
こういう「病院に電話するほどではないけれど、不安…」という困りごとも、かかりつけ薬局に電話すれば、薬剤師さんが対処のしかたを教えてくれます。顔なじみの薬局なら、飲んでいる薬を把握したうえで答えてもらえるので、なおさら安心です。
そして、飲む薬の種類が多い方には一包化(いっぽうか)という方法もあります。「朝食後の分」「夕食後の分」というように、1回に飲む薬をまとめて1つの袋にしてくれるもので、袋に日付や名前を印字してもらえることもあります。飲み間違いや飲み忘れの心配が、ぐっと減ります。
薬の飲み忘れ・飲み過ぎを防ぐ家庭での工夫は、薬の管理、どうしてる?親の飲み忘れ・飲み過ぎを防ぐ工夫の記事でも詳しく紹介しています。
在宅医療・訪問薬剤師との連携
介護が進んで、病院への通院が難しくなってきたとき。 かかりつけ薬局があると、訪問薬剤師(自宅に薬を届けてくれる薬剤師さん)の手配がスムーズになります。
訪問薬剤師は、薬を届けるだけでなく、
- 薬の飲み方を本人や家族に説明する
- 飲み残しや飲み忘れの状況を確認する
- 薬の保管状況を確認する
- 在宅のお医者さん(訪問診療医)と情報を共有する
といったことをしてくれます。 これは居宅療養管理指導(きょたくりょうようかんりしどう)という介護保険のサービスとして提供されることもあります。
訪問診療・訪問看護・訪問薬剤師が連携すると、自宅でも安心して薬を管理できる環境に近づきます。
かかりつけ薬局の選び方
では、どうやって選べばいいのでしょうか。いくつかのポイントを挙げます。
「病院の隣の調剤薬局」が必ずしもベストではない
「処方箋(病院でもらう薬の指示書)を出してくれた病院の並びの薬局」を使うのが手軽ですが、複数の病院にかかっているなら、自宅から一番通いやすい薬局や対応が丁寧と感じる薬局を選ぶほうが長く続けやすいです。
「門前薬局」(病院のすぐそばにある薬局)と「かかりつけ薬局」は別の概念です。 どの病院の処方箋でも受け付けてくれる薬局はたくさんあります。
確認しておくと安心なこと
- 複数の病院の処方箋を受け付けてくれるか(ほとんどの薬局はOK)
- 相談しやすい薬剤師さんがいるか(顔なじみになれるかどうか)
- 訪問対応があるか(将来のことを見越して)
- 夜間・休日の連絡体制はあるか(薬のトラブル時に相談できるか)
「相談しやすい雰囲気かどうか」は、意外と大切なポイントです。 薬のことで「聞くのが面倒」と感じてしまうと、飲み忘れや飲み間違いにつながることがあります。
まとめ
介護が進むと、薬の種類も、管理の難しさも増えていくことがあります。 「今はなんとかなっている」という時期に、薬局のことを少し見直しておくことが、後々の安心につながります。
具体的な薬のことや、訪問薬剤師の手配については、担当のケアマネジャーや、かかりつけ医・薬局の薬剤師さんにご相談ください。
現役のケアマネジャー(主任介護支援専門員)。在宅介護の家族に「ちょっと隣にいる人」がいたらいいなと思ってこのブログを始めました。猫のこまりとお届け中。
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