在宅介護 (2026年10月5日 更新)

親のかかりつけ医、どう選ぶ?介護がはじまる前に知っておきたいこと

親のかかりつけ医、どう選ぶ?介護がはじまる前に知っておきたいこと

「介護が始まったら、お医者さんとはどう関わればいいの?」 「親はいくつも病院に通っているけど、かかりつけ医はどの先生?」

介護というと、まず思い浮かぶのはケアマネジャーやヘルパー、デイサービスなどの介護サービスかもしれません。でも実際に介護が始まると、お医者さんとの関わりもこれまで以上に大切になってきます。

要介護認定を申請するときには「主治医意見書」が必要になりますし、体調や薬のこと、通院が難しくなったときのことなど、介護が進むにつれて医療と介護が一緒に考える場面も増えていきます。

そんなときに頼りになるのが、普段から本人のことを診てくれている「かかりつけ医」です。

高齢になると、内科や整形外科、眼科など複数の病院に通っていることも珍しくありません。どの先生をかかりつけ医として考えればいいのか、今の先生にそのまま相談していいのか、迷うこともあると思います。

今日は、介護が始まる前に知っておきたい「かかりつけ医の選び方と、介護との関わり方」について、やさしく整理しますね。


とも
とも
介護が始まると、ケアマネジャーや介護サービスだけでなく、お医者さんとの連携も大切になってくるんです。
こまり
こまり
でも、いくつも病院に通っている人もいるよね。そういうときは、どの先生が「かかりつけ医」になるの?
とも
とも
そうなんです。必ずしも「この先生がかかりつけ医」と決まっているわけではありません。まずは、かかりつけ医とはどんなお医者さんなのか、そこから見ていきましょう。

そもそも「かかりつけ医」って何?

「かかりつけ医」とは、身近にいて、健康や病気のことを気軽に相談できるお医者さんのことです。

厚生労働省では、健康に関することを何でも相談でき、必要なときには専門医や専門の医療機関を紹介してくれる「身近で頼りになる医師」と説明しています。

「かかりつけ医」というと、一人の先生を決めなければいけないように感じるかもしれませんが、そうではありません。厚生労働省も、かかりつけ医は一人に決める必要はなく、たとえば内科とは別に、眼科の先生もかかりつけ医と考えてよいとしています。

高齢になると、内科・整形外科・眼科など、複数の病院に通っている方も珍しくありません。それぞれの先生に専門の病気を診てもらいながら、普段の体調や持病について相談しやすく、本人のことをよく知っている先生がいると安心です。

介護が必要になると、薬の調整、体調の把握、要介護認定のための主治医意見書、通院が難しくなったときのことなど、医療と介護が連携する場面が増えてきます。

また、ケアマネジャーや介護サービスの事業所から、本人の病気や体調について医師に確認したり、反対に医師から介護側へ情報を伝えたりすることもあります。そのとき、普段から本人の状態を知っている先生がいると、医療と介護の間で情報を共有しやすくなります。

実際には、介護が始まってから慌てて探すよりも、元気なうちから相談できる医師との関係を作っておく方がスムーズです。同じように、かかりつけの薬局を決めておくことも安心につながります。親のかかりつけ薬局、決めていますか?お薬手帳と在宅医療との連携もあわせてご覧ください。


かかりつけ医を選ぶときのポイント

診察室の前で話す高齢女性と娘

1. 相談しやすいかどうか

技術や設備も大切ですが、長く相談できる関係を築けるかどうかも大切なポイントです。

  • 家族からも相談しやすいか
  • わからないことを質問できるか
  • 今後のことについても相談できるか

介護が始まると、本人の体調だけでなく、薬のことや通院のこと、これからの生活について相談したい場面も増えてきます。 普段の診察の中で話しやすく、「何かあったときにはこの先生に相談しよう」と思えることも、かかりつけ医を考えるうえで大切です。

こまり
こまり
「相談しやすい先生か」って、最初はわかりにくくない?
とも
とも
そうなんですよね。だから、一度ご家族も受診に付き添ってみるのがおすすめです。実際に先生と話してみると、相談のしやすさもわかりやすくなりますよ。

2. 自宅から通いやすい場所にあるか

介護が必要になると、本人が一人で病院に行けなくなることがあります。家族が受診に付き添ったり、車で送り迎えをしたりする機会が増えることもあるため、自宅から近い、あるいはアクセスしやすい場所にあることも大切です。

元気なうちは少し遠い病院でも問題なく通えていても、足腰が弱くなったり、車いすを使うようになったりすると、通院そのものが大きな負担になることがあります。定期的に通うことを考えると、本人だけでなく、付き添う家族にとっても無理なく通える場所かどうかを見ておくとよいでしょう。

また、「状態が急に変わったときに相談できるか」「往診や訪問診療(自宅に来てくれる診察)を相談できるか」なども、確認しておけると安心です。

今は問題なく通院できていても、この先ずっと同じように通えるとは限りません。将来、通院が難しくなったときのことまで少し考えておくと、その後の医療や介護につなげやすくなります。

3. ケアマネや他の医療機関と連携しやすいか

介護が始まると、かかりつけ医だけでなく、ケアマネジャーや他の医療機関など、さまざまな専門職と関わるようになります。そのため、必要なときにケアマネジャーや他の医療機関と情報をやり取りできることも、かかりつけ医を選ぶときのポイントのひとつです。

たとえば、介護サービスを利用するうえで病気や体調について確認が必要になったときには、ケアマネジャーからかかりつけ医へ連絡することがあります。また、専門的な検査や治療が必要になれば、他の診療科や医療機関を紹介してもらうこともあります。

要介護認定を申請するときには、医師が作成する主治医意見書も必要になります。介護が始まると、診察室の中だけではなく、医療と介護がつながって本人の生活を支える場面が増えていきます。

普段の診察だけでなく、必要になったときに周囲の専門職や医療機関とつながることができるかという点も、長く診てもらうかかりつけ医を考えるうえで大切です。


かかりつけ医がいない場合は?

とも
とも
介護保険の要介護認定を受けるときには、主治医に「主治医意見書」を書いてもらう必要があるんです。
こまり
こまり
でも、普段ほとんど病院に行かなくて、かかりつけ医がいない人もいるよね? そういうときはどうするの?
とも
とも
かかりつけ医がいなくても、要介護認定の申請はできますよ。

普段どこの医療機関にも通っておらず、意見書を書いてもらえる医師がいない場合は、まずお住まいの市区町村の介護保険窓口に、そのことを伝えて相談してみてください。

市区町村によって対応は異なりますが、主治医意見書を作成してもらうための医療機関や医師について案内してもらえることがあります。その場合は、案内された医療機関を受診し、診察を受けたうえで主治医意見書を作成してもらうことになります。

ただ、初めて診る方の場合、医師もこれまでの病歴や普段の状態を十分に把握しているわけではありません。受診したその日に必ず意見書を書いてもらえるとは限らないため、介護保険の申請を考え始めたら、早めに相談しておくと安心です。

また、今は介護が必要なくても、年齢を重ねていく中で体調について相談できる医師がいると、いざ介護が必要になったときにも話が進めやすくなります。普段あまり病院に行かない方も、健康診断などをきっかけに、身近な医療機関を知っておくとよいでしょう。


「主治医意見書」ってなに?

こまり
こまり
ところで、さっきから出てくる「主治医意見書」って、どんなものなの?
とも
とも
要介護認定をするときに、本人の病気や心身の状態について、主治医に書いてもらう書類なんです。

要介護認定では、本人や家族への「認定調査」だけでなく、医療の面から本人の状態を確認するために「主治医意見書」が使われます。

主治医意見書には、病気や治療の状況だけでなく、心身の状態や日常生活に関することなども記載されます。市区町村から主治医へ作成を依頼するため、基本的には本人や家族が意見書を受け取って提出するものではありません。

そのため、要介護認定を申請するときには、申請書に主治医の氏名や医療機関名などを記入します。普段から診てもらっている先生がいる場合は、その先生を主治医として記入することが多いです。

また、認定を考えていることを受診の際に先生へ伝えておくのもよいでしょう。普段の診察では伝えていなかった生活上の困りごとや、最近変わってきたことがあれば、あわせて相談しておくと本人の今の状態を知ってもらうきっかけになります。

主治医意見書は、要介護度を決めるための大切な資料のひとつです。だからこそ、介護が必要になってから初めて医師を探すよりも、普段から体のことを相談できるかかりつけ医がいると安心です。要介護認定の申請の流れ全体については、要介護認定の申請から認定まで、家族がやることをやさしく解説で詳しく解説しています。


通院がむずかしくなったら「訪問診療」という選択肢も

自宅で訪問診療の医師の診察を受ける高齢女性と、そばで見守る家族

病状が進んだり、外出が難しくなってきたりした場合、訪問診療(自宅に来てもらう定期的な診察)に切り替えることができます。 かかりつけ医が訪問診療に対応していれば、そのままスムーズに移行できます。

ただし、訪問診療は対応できるエリアがあらかじめ決まっていることがほとんどです。かかりつけ医が訪問診療をしていても、自宅がその範囲から外れていると、来てもらえないことがあります。

対応していない、あるいは自宅が範囲外だった場合は、「訪問診療専門のクリニック」に紹介してもらうこともできますので、かかりつけ医に相談してみてください。訪問診療と同時に利用することがある訪問看護については、訪問看護って何をする人?訪問介護とのちがいと、頼むタイミングで詳しく解説しています。

とも
とも
「もう病院に連れて行けない…」と抱え込んでしまう家族の方もいますが、訪問診療という形があることを知っているだけで、少し気持ちが楽になることもあります。

まとめ:今のうちに「話せる医師」をみつけておく

こまり
こまり
つまり、かかりつけ医は、普段から体のことを相談できて、介護が必要になったときにも頼りになるお医者さんなんだね。元気なうちから考えておくといいってこと?
とも
とも
そのとおりです。今は元気でも、これから介護が必要になったり、通院が難しくなったりすることがあります。そんなとき、普段から本人のことを診てもらっている先生がいると安心です。

介護が始まると、要介護認定の主治医意見書や、ケアマネジャーとの連携、通院が難しくなったときの訪問診療など、お医者さんと介護がつながる場面が増えてきます。

だからといって、今すぐ「この先生をかかりつけ医にしよう」と決める必要はありません。まずは普段の受診を大切にして、体調やこれからのことを相談できる先生との関係を作っておく。それが、いざ介護が必要になったときの備えにもなります。

かかりつけ医のことや、訪問診療について分からないことがあれば、担当のケアマネジャーや地域包括支援センター(地域の介護相談窓口)にも気軽に相談してみてください。


ここまでの話を、1枚にまとめました。

かかりつけ医が担う役割をまとめたイラスト

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よくある質問

とも
とも
最後に、かかりつけ医についてよくある質問にお答えします。

親が複数の病院に通っています。どの先生に主治医意見書をお願いすればいいですか?

今の介護が必要になった原因の疾患を診てもらっている先生にお願いするのがよいでしょう。どの先生にお願いすればよいか迷う場合は、市区町村の窓口や担当のケアマネジャーに相談してみてください。

家族が受診に付き添って、先生に親の様子を伝えてもいいですか?

はい。家での様子や生活の中で困っていることなど、診察だけでは分かりにくいことを家族から伝えることも大切です。気になる変化があれば、受診の際に先生へ伝えてみてください。

ケアマネジャーから、かかりつけ医に連絡してもらうことはできますか?

はい。介護サービスを利用するうえで医療面の確認が必要なときなど、ケアマネジャーからかかりつけ医へ連絡することがあります。医療について確認したいことがあるときは、担当のケアマネジャーに相談してみてください。

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とも 現役・主任介護支援専門員

現役のケアマネジャー(主任介護支援専門員)。在宅介護の家族に「ちょっと隣にいる人」がいたらいいなと思ってこのブログを始めました。猫のこまりとお届け中。

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