在宅介護

親の転倒が怖い。家の中の危険を家族が見直す方法

親の転倒が怖い。家の中の危険を家族が見直す方法

「最近、廊下でよろけることが増えて…」
「夜中にトイレに行こうとして転んだみたい」

こういった話を、家族の方からよく聞きます。
転倒は高齢者にとって大きなリスクで、骨折をきっかけに一気に要介護度が上がることも少なくありません。

でも、住み慣れた家をすぐに大工事するのは難しい。
今日は、「まずここを見直してほしい」という家の中の危険ポイントを、家族でチェックできるよう整理していきます。


とも
とも
こんにちは、ともです。今日は「親の転倒予防」をテーマにお話しします。転んでから慌てるより、転ぶ前に一度、家の中を見直してほしいなと思っていて。
こまり
こまり
転倒ってそんなに多いの?うちの親は元気そうだけど…。
とも
とも
「元気そうに見える」ときほど油断しやすいんです。高齢になると、筋力や反射神経が少しずつ落ちていて、若い頃なら何でもない段差や暗がりでつまずくことが増えてくるんですね。転倒して骨折すると、そのまま入院→リハビリ、というケースも珍しくなくて。
こまり
こまり
えっ、転んだだけで入院になることもあるの?
とも
とも
特に大腿骨(だいたいこつ)という太ももの付け根の骨は、高齢者が転倒したときに折れやすい場所で、手術が必要になることもあります。だから「予防」がとても大事なんですよ。まずは家の中の危険を知るところから始めてみましょう。

転倒が起きやすい「場所」を知る

娘と高齢の母が廊下を並んで歩く温かな場面

転倒は、じつは家の外より家の中で起きる方が多いと言われています。
慣れているから油断しやすい、というのが理由のひとつです。

特に注意が必要な場所は、以下の4か所です。

1. トイレ・浴室

夜中に起きてトイレへ向かう。この動線が一番危険です。
暗い・眠い・足元が見えにくい、の三重苦。
さらに浴室は床が濡れて滑りやすく、動作の切り替わりが多い(脱ぐ・またぐ・しゃがむ)場所でもあります。

まず確認したいこと:

  • トイレへの通路に足元ライトはあるか
  • 便座の立ち上がりを助ける手すりはあるか
  • 浴室の床に滑り止めマットはあるか
  • 浴槽のまたぎが高すぎないか

2. 廊下・部屋の出入り口

フローリングと畳の境目、敷居のわずかな段差。
若い人には何でもないこの数センチが、高齢者にはつまずきの原因になります。

まず確認したいこと:

  • 廊下に延長コードや荷物が出ていないか
  • ラグやマットの端がめくれていないか(固定できているか)
  • 部屋の出入り口の段差が放置されていないか

3. 階段

もっとも骨折リスクが高い場所のひとつです。
踏み外し・滑りに加えて、落下の高さがあるため、重傷になりやすい。

まず確認したいこと:

  • 両側に手すりはあるか(片側だけでも設置を検討)
  • 階段の色が見分けにくくなっていないか(段鼻=角に色テープを貼るだけで視認性が上がります。蛍光タイプや滑り止めの機能付きのテープもあります)
  • 照明が十分か

4. リビング・居間

意外に見落とされるのがここです。
普段いちばん長くいる場所なのに、家具の角・コードの散乱・ソファからの立ち上がりなど、危険が潜んでいます。

まず確認したいこと:

  • 立ち上がる場所の近くに、体を支えられる家具や手すりがあるか
  • 床に荷物や新聞紙が積まれていないか
  • 照明が全体的に十分な明るさか

こまり
こまり
確認項目、けっこう多いね…。全部一気にやるの大変そう。
とも
とも
全部いっぺんにやろうとしなくて大丈夫です。「まずトイレ周りだけ」でも全然OK。親が実際によく転んでいる場所、よく通る場所から優先するといいですよ。あと、確認するときはできれば親と一緒に歩きながら見てみるのがおすすめです。「ここ歩きにくい?」「この段差、気になる?」って聞きながら回ると、家族だけでは気づかないことが出てきます。

お金をかけずにできること、介護保険で対応できること

「手すりをつけたいけどお金が…」という方も多いと思います。
転倒予防の対策には、費用ゼロでできるものと、介護保険が使えるものがあります。

すぐできること

  • 足元ライト(コンセント式センサーライト)を廊下・トイレに置く
  • 滑り止めマットを浴室・玄関に敷く
  • ラグやマットを撤去する(ひっかかりを減らす)
  • 床の荷物・コード類を整理する
  • 階段の段鼻(踏み板の端)に色付きテープを貼る

どれも数百円〜数千円でできます。まずここから試してみてください。

介護保険の「住宅改修」が使えるケース

介護保険には、住宅改修費の支給制度があります。
手すりの取り付けや段差解消など、対象となる改修工事に対して、上限20万円の9割(または8割・7割)が支給されます(自己負担は1〜3割)。

対象になる主な工事は:

  • 手すりの取り付け
  • 段差の解消
  • 滑り防止のための床材変更
  • 引き戸など扉の取り替え
  • 洋式便器への取り替え

この制度を使うには、事前にケアマネジャーへの相談が必要です。
工事してから申請しても支給されないケースがありますので、必ず先に確認してください。


こまり
こまり
介護保険でリフォームができるって知らなかった。手すりって自分でつけるものだと思ってた。
とも
とも
意外と知られていない制度なんですよ。要介護・要支援の認定を受けていれば使えます。「大がかりな工事は敷居が高い」と思っていた方にも、ぜひ知ってほしい制度です。ただ、利用できるのは原則として同じ住居で1回まで(上限20万円)なので、どこから優先するかの相談が大事になってきます。

「転ばない体」をつくる視点も忘れずに

環境を整えることと同じくらい大切なのが、転ばない体を維持することです。

筋力・バランス感覚・視力——これらが低下していくと、どれだけ環境を整えても転倒リスクはゼロにはなりません。

家族として気にしておきたいのは:

  • 定期的に体を動かしているか(デイサービスでの体操、散歩の習慣など)
  • 視力は適切に矯正されているか(メガネが合っていない方は意外に多い)
  • 服薬の影響はないか(ふらつきを副作用に持つ薬もあります。かかりつけ医やかかりつけ薬局に確認を)

「転倒=環境の問題」だけではなく、「体の問題」もあわせて見ていくことが大切です。


まとめ:転ぶ前に、一度家を歩いてみる

とも
とも
転倒予防って、「完璧に備える」というより「一つひとつ気になるところを減らしていく」感じで進めるのが続くコツです。全部いっぺんにやろうとしなくていい。今日できることから、一つだけ。
こまり
こまり
つまり、「まずトイレと廊下の足元だけ確認する」→「気になったら介護保険の住宅改修も使える」→「体を動かすことも忘れない」ってこと?
とも
とも
完璧なまとめ、ありがとうこまり。そのとおりです!住宅改修の制度を使いたい場合は、必ず工事の前にケアマネジャーに相談することだけ覚えておいてもらえると助かります。

転倒は、起きてしまうと家族全員が慌てます。
でも「家を一緒に歩いてみる」という小さな一歩が、大きな安心につながります。

ご家族の状況に合わせた具体的な対策については、担当のケアマネジャーや専門家にご相談ください。
一人で抱え込まずに、使える制度と人を頼りながら進めていきましょう。

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とも 現役・主任介護支援専門員

現役のケアマネジャー(主任介護支援専門員)。在宅介護の家族に「ちょっと隣にいる人」がいたらいいなと思ってこのブログを始めました。猫のこまりとお届け中。

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