認定調査では何を聞かれる?家族が立ち会うときに準備するメモ
「認定調査って、何を聞かれるんだろう」
「家族が立ち会うなら、何をメモしておけばいいんだろう」
介護保険を申請すると、後日、認定調査があります。 調査員が自宅などに来て、本人の状態や、ふだんの生活の様子を確認します。
今日は、認定調査で聞かれることと、家族が立ち会うときに準備しておきたいメモについてお話しします。
申請から認定までの流れは、要介護認定の申請から認定まで、家族がやることをやさしく解説で紹介しています。
認定調査は、困りごと相談ではなく「事実を確認する調査」です
認定調査は、市区町村から委託を受けた調査員が、本人の心身の状態や、日常生活でどのくらい介護の手間がかかっているかを確認するものです。
ここで大事なのは、認定調査員が「困りごとを聞いて、そのまま全部を反映している」わけではないことです。
調査員は、決められた調査項目に沿って、本人の状態や介護の手間などの事実を調査票に書き込みます。その内容がコンピューターに読み込まれ、一次判定につながります。
ただし、話したことが何も残らないわけではありません。項目によっては、特記事項という形で書き込んでもらえることもあります。
だから、家族が立ち会うときは、
「困っています」だけでなく、「何に、どのくらいの頻度で、どんな手助けが必要か」
を伝えることが大切です。
認定調査では、どんなことを聞かれるのか
認定調査では、本人の生活全体を見ます。
細かい項目はたくさんありますが、家族がメモを作るときは、まず生活の場面で考えると分かりやすいです。
たとえば、次のようなところです。
- 身体の状態や動き
- 移動
- 食事
- 排泄
- 入浴
- 更衣
- 口腔ケアや洗顔などの清潔ケア
- 買い物
- 簡単な調理
- 薬の管理
- 認知面や、普段と違う行動
- コミュニケーション能力
この中でも、移動、食事、排泄、入浴、更衣、認知面は、普段の様子を特に伝えておきたいところです。
「歩けます」「食べられます」「着替えられます」だけだと、実際の生活でどのくらい手助けが必要なのかが見えにくいことがあります。
メモは「何を」「どのくらいの頻度で」書く
認定調査の前にメモを作るなら、困りごとを思いつくまま並べるより、生活場面ごとに書くほうが伝わりやすいです。
書き方は、難しく考えなくて大丈夫です。
「何を」「どのくらいの頻度で」
この2つを入れるだけでも、調査員が状況をつかみやすくなります。
頻度は、できるだけ具体的な数字で書きます。
たとえば「歩ける日が何日かあります」だけだと、調査員は「歩ける」と見るのか、「歩けない」と見るのか判断しにくくなります。
1週間のうち、できる日とできない日がある場合は、どちらが多いのかも大事です。 「週4日は一人で歩ける」「週3日は見守りが必要」のように書いておくと、普段の状態が伝わりやすくなります。
たとえば、こんな形です。
- トイレには行くが、週3回ほど失禁がある
- 下着や衣類が汚れていても、本人が嫌がって替えさせてくれない
- 入浴はしているが、足先や背中が洗えていない
- 歯みがきや洗顔は、声をかけないとしない
- 同じ服を何日も着ていることがある
- 薬は飲んだと言うが、あとで残っていることがある
- 食事は自分で食べるが、むせることがある
「できない」と言い切れることだけでなく、できているように見えても不十分なところ、見守りや声かけが必要なところも書いておくとよいと思います。
こちらをダウンロードしてお使いください。
認知面は、普段の小さな違和感もメモしておく
認知面は、調査の日だけでは見えにくいことがあります。
調査項目として聞かれると、「そんなことはありません」と思っても、普段の生活を思い返すと、近い場面が出てくることがあります。
たとえば、作話と言われると大げさに聞こえるかもしれません。 でも実際には、昔のことを今のことのように話していたり、来ていない人を「来た」と言ったりすることがあります。
ほかにも、
- しまい忘れて、家族が一緒に探している
- 水を出しっぱなしにしていて、家族がいつも止めている
- 同じ話を何度もする
- 話の内容がかみ合わない日が週3日ほどある
- こちらの説明が、どのくらい伝わっているのか分かりにくい
こういう小さな違和感も、メモしておくと役に立ちます。
怒りっぽい、大声を出す、というだけでは、それが昔からの性格なのか、最近になって出てきた変化なのかが分かりません。
昔からそういう人だったのか、最近になって変わってきたのか。そこは分けて考えます。
介護の対応が必要になっている場面も、別にメモしておくとよいと思います。
たとえば、「物をしまい忘れて、一緒に探している」「水を出しっぱなしにしていて、家族が確認して止めている」などです。
本人が「できます」と言ったときは、責めずに補足する
認定調査の日に、本人がいつもよりしっかり見えることはあります。
緊張していたり、知らない人の前で頑張ったりして、普段よりテキパキ動くこともあります。
また、本人が「できます」と答えても、実際には家族が声をかけていたり、見守っていたり、あとから片付けていたりすることがあります。
そんなときは、本人を否定するように言わなくても大丈夫です。
たとえば、
- 「できる日もありますが、普段は声をかけています」
- 「本人は自分でやろうとしますが、あとで家族が確認しています」
- 「一人で始めますが、最後までできていないことがあります」
- 「週◯回は、家族が手伝っています」
という言い方なら、本人の気持ちを傷つけにくく、実態も補足できます。
本人の前で言いにくいことは、玄関先で短く補足する
家族が立ち会っていても、本人の前では言いにくいことがあります。
失禁のこと、汚れた服を替えさせてくれないこと、物忘れや認知面のこと。本人の自尊心に関わる話は、その場で言いにくくて当然です。
自然に伝えやすいのは、調査が終わって、調査員を玄関先まで送るときです。
「さきほど本人の前では言いにくかったのですが」 「実は、排泄のことでこういうことがあります」 「認知面で、普段はこういう様子があります」
本人の前で言いにくかったことは、調査が終わったあとに事実として伝えれば大丈夫です。
調査員に伝えることと、ケアマネに伝えることは分ける
認定調査で伝えることと、ケアマネジャーに相談することは、少し役割が違います。
調査員に伝えたいのは、調査票に書くための事実です。 本人の状態、介助が必要な場面、見守りや声かけの頻度など、介護の手間が分かることを伝えます。
一方で、普段抱えている困りごとやストレス、家族の思いは、ケアマネジャーに相談してください。
たとえば、家族が疲れていること、夜に眠れないこと、介護の分担で困っていること、サービスをどう使えばいいか分からないこと。
こうしたことは、要介護度に直接反映される話ではなくても、生活を支えるうえでは大事な情報です。
認定調査のために作ったメモを見ながら、調査員に伝える事実と、ケアマネジャーに相談したいことを分けておくと、あとで相談しやすくなります。
ケアマネジャーに相談できることは、ケアマネジャーって何をしてくれる人?はじめての相談の前に知っておきたいことで詳しく紹介しています。
まとめ
調査の日だけでは、普段の様子が見えないこともあります。
だからこそ、家族のメモが助けになります。 「これは言っていいのかな」と迷うことほど、実は生活を支える大事な情報かもしれません。
認定調査に入りきらない困りごとは、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターにも相談してください。
ここまでの話を、1枚にまとめました。印刷して手元に置いたり、ご家族で見ながら話すときに使ってください。
最終的なご判断や個別の状況については、担当のケアマネジャーや専門家にご相談ください。
よくある質問
認定調査では、困っていることを全部話したほうがいいですか?
話してはいけないわけではありません。 ただ、認定調査では、話した困りごとがすべて同じように反映されるわけではありません。
調査員は、決められた調査項目に沿って、本人の状態や介護の手間を確認します。 メモを作るなら、移動、食事、排泄、入浴、更衣、認知面など、生活の場面に分けて書くと伝わりやすいです。
本人の前で言いにくいことは、どうすればいいですか?
本人の前で無理に話さなくても大丈夫です。
調査が終わって、調査員を玄関先まで送るときに「本人の前では言いにくかったのですが」と短く補足する方法があります。 事前にメモしておくと、言い忘れを減らせます。
「できる」と本人が言ったら、そのままになりますか?
本人が言ったとおりに受け取られることがありますので、ご家族は本人が「できます」と言っても補足する必要があります。
「できる日もありますが、普段は声をかけています」「一人で始めますが、最後は家族が確認しています」のように、否定ではなく普段の様子として伝えると良いと思います。
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現役のケアマネジャー(主任介護支援専門員)。在宅介護の家族に「ちょっと隣にいる人」がいたらいいなと思ってこのブログを始めました。猫のこまりとお届け中。
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