介護で怒鳴ってしまった。自分を責めすぎないための話
「また怒鳴ってしまった…自分はひどい人間だ」
「わかってる。でも、どうしたらよかったの」
怒鳴ってしまった後の罪悪感は、本当につらいものです。
「あんなに優しくしてあげたかったのに」という後悔と、「もう限界だ」という疲れが、ぐるぐると頭の中を回り続ける。
今日は、そのしんどさにそっと寄り添いながら、少し楽になれる話をします。
実は、「怒鳴ってしまった」と打ち明ける介護家族は少なくありません。多くの方が同じように悩み、後悔しながら介護を続けています。あなただけが特別なわけではないんです。
なぜ、怒鳴ってしまうのか
怒鳴ってしまう背景には、多くの場合「限界まで消耗している」という事実があります。
- 夜中に何度も起こされて、まともに眠れていない
- 誰にも話せず、一人で全部抱え込んでいる
- 自分の時間がまったくなく、仕事や家事も続いている
- 何度同じことを伝えても、翌日には忘れてしまう
- 「いつまでこれが続くんだろう」という出口の見えない不安
こうした状況が積み重なると、人は誰でも感情のコントロールが難しくなります。「意思が弱いから」でも「介護者として向いていないから」でもありません。それだけ追い詰められている、ということです。
介護職はなぜ穏やかでいられるのか
「デイサービスのスタッフさんは、あんなに穏やかに接してくれるのに、どうして自分にはできないんだろう」という言葉を、家族の方からよく聞きます。
その疑問は、すごく正直な気持ちだと思います。
でも、少し立ち止まって考えてみると、介護職と家族では、関わり方の構造がまったく違います。
介護の仕事をしている人は、時間が来れば、いったんその場を離れることができます。休憩があり、交代があり、仕事と生活が切り離されています。どんなに大変な状況でも、「今日はここまで」と区切ることができる。
一方で、家族には終わりがありません。夜中も、週末も、仕事の合間も、ずっと続きます。
介護職が穏やかに見えるのは、その人たちが特別なのではなく、「仕組み」が違うからです。あなたが感情的になってしまうのは、仕組みのない場所で、愛情と疲労と悲しみを全部一人で引き受けているからです。
だからこそ、ショートステイやデイサービスを使って、家族が意識的に離れる時間を作ることが大切なのです。「介護から逃げている」のではありません。介護職が当たり前に持っている「区切り」を、家族にも作る、ということです。
怒鳴った後にできること
怒鳴ってしまった後、必要以上に自分を責め続けるより、次にできることを考えましょう。
① 落ち着いてから、短く謝る 「さっきは声が大きくなってごめんね」と短く伝えるだけでも、関係の修復につながります。長い謝罪や説明は、かえって相手を混乱させることもあります。認知症のある方の場合、怒鳴られた出来事そのものは忘れてしまっても、「なんとなく怖かった」「落ち着かない」といった気持ちが残ることがあります。穏やかな声と表情で接することが、その後の関係を整えます。
② 誰かに話す 担当ケアマネジャー、地域包括支援センターのスタッフ、家族や信頼できる友人に「最近しんどくて」と話してみてください。話すだけで少し楽になることがあります。「また怒鳴ってしまった」と正直に言える相手がいることが、介護を続ける力になります。責められることを心配しなくて大丈夫です。ケアマネジャーはそういう話を聞くためにいます。
③ 休める仕組みを作る 怒鳴ってしまう前に、定期的に休める時間を作ることが大切です。ショートステイやデイサービスを使って、介護者が意識的に離れる時間を確保しましょう。「休むことは逃げではなく、介護を続けるための選択」という考え方を持ってほしいです。
「怒鳴ってしまいそう」というサインに気づく
自分が追い詰められているサインを早めに察知することも大切です。
- 些細なことで涙が出る
- 何もやる気が起きない
- 相手の声を聞くだけで体が緊張する
- 眠れない、または眠りすぎる
- 「消えてしまいたい」という気持ちが浮かぶ
こうした状態が続くときは、一人で抱え込まずに相談することをおすすめします。もし「消えたい」という気持ちが出てきたなら、ケアマネジャーだけでなく、医師や介護者向けの相談窓口にも声をかけてほしいです。
「消えたい」と思うほど追い詰められている状態は、心が助けを必要としているサインかもしれません。どうか我慢し続けず、周りを頼ってください。
介護している自分を責めすぎないために
介護には「正解」がありません。毎日完璧にやれる人はいません。怒鳴ってしまう日もあれば、うまくやれる日もある。それが普通の介護の姿です。
「良い介護者でなければ」というプレッシャーを手放すことも、長く続けるためには必要なことです。介護している自分を「ひどい人間だ」と責めるより、「これだけ頑張っている自分」を少し認めることから始めてみてください。
まとめ
明日から完璧な介護を目指さなくて大丈夫です。
今日できることは、「ひとりで抱え込まない」と決めることだけで十分です。
「しんどい」と感じたら、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターにいつでもご相談ください。最終的なご判断は、担当のケアマネジャーや専門家にご相談ください。
現役のケアマネジャー(主任介護支援専門員)。在宅介護の家族に「ちょっと隣にいる人」がいたらいいなと思ってこのブログを始めました。猫のこまりとお届け中。
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