離れて暮らす親を見守る方法、どれを選べばいい?
「最近、親と連絡を取るたびに心配が増えてきた」 「電話には出てくれるけど、日々の様子まではよく分からない」
離れて暮らしていると、こんな不安をずっと抱えている方は多いと思います。 かといって「カメラを付けたら嫌がるかな」「どんな機器を選べばいいか分からない」とも思いますよね。
今日は、見守りの手段をタイプ別にやさしく整理しながら、 親御さんの尊厳やプライバシーにも配慮した使い方について一緒に考えてみます。
こんな変化があったら、見守りを考えるサインかも
「うちはまだ早い」と感じている方も多いのですが、こんな変化が気になりはじめたら、見守り方法を考えるきっかけにしてみてください。
- 電話に出ない日が増えた
- 同じ話を繰り返すことが増えた
- 転倒したと聞いた、または転倒が増えた
- 冷蔵庫の中身が減らなくなった・食事が偏っていそう
- 近所から心配の連絡が入った
- 離れて暮らす家族の不安が強くなってきた
「まだ元気そうだから」と先送りしているうちに、タイミングを逃してしまうこともあります。 「ちょっと気になりはじめた」くらいのときに、選択肢を知っておくだけでも十分です。
3つのタイプを整理してみよう
タイプ① カメラ型
スマートフォンのアプリとつながった小型カメラを部屋に置いて、映像で様子を確認するタイプです。 よく知られている製品としては「TP-Link Tapoシリーズ」「Google Nest Cam」「SwitchBot見守りカメラ」などがあります(特定の製品を推奨するものではありません)。
映像でリアルタイムに確認できるのが最大の強みで、 「転倒していないか」「起き上がれているか」が一目で分かります。
ただし、これが一番「プライバシーへの配慮」が必要なタイプでもあります。 本人が「見られている」と感じると、心理的な負担になることがあります。 設置場所の工夫と、事前の丁寧な説明が欠かせません。
また、わたしが経験した中では、認知症の方がカメラのコンセントを自分で抜いてしまったケースもありました。 本人が「なぜここにこんな機械があるのか」と感じたとき、取り除こうとすることがあるんです。 設置場所や見せ方にも工夫が必要な場合があります。
タイプ② センサー型
動きを感知してスマホに通知を送るタイプです。 映像は録画されないので、カメラよりプライバシーへの抵抗が少ない方も多いです。
人の動きを検知する人感センサーのほか、玄関やトイレのドアが開いたかを確認できるドア開閉センサー、夜中にベッドから離れたことを知らせるベッド離床センサーなども使われています。
「今日も朝ちゃんと動いてる」「昼過ぎまで動きがない」といった 生活リズムをざっくり把握するのに向いています。
夜中に起き出すことが増えた、昼間ほとんど動かない…という変化に気づくきっかけになります。
タイプ③ 家電の使用感知型
電気ポット・電球・テレビなどの家電がいつ使われたかをスマホで確認するタイプです。
有名なのは「みまもりポット(象印)」。 ポットでお湯を沸かすたびに通知が来るサービスで、「今朝もちゃんとお茶飲んだんだな」という安心感があります。
ポット以外にも、スマートプラグや電球を利用した見守りサービスもあります。 電気スタンドや照明がいつオン・オフされたかで生活の動きを確認する、という使い方もできます。
カメラもセンサーも必要なく、親御さんがいつも通り生活するだけで見守れるのが特徴。 新しいものに慣れてもらう必要がほぼないので、機器が苦手な方でも取り入れやすいです。
見守り機器の費用は?
- カメラ型:数千円〜1万円程度+通信費
- センサー型:数千円〜数万円
- 見守りサービス:月額数百円〜数千円
※機種やサービスによって異なります。
導入前に知っておきたいこと:機器で解決できないこともある
たとえば、こんなことは見守り機器だけでは解決できません。
- 薬の飲み忘れ:動いていても、薬が飲めているかどうかは機器では分からない
- 金銭管理の不安:振り込め詐欺や不審な支出は映像では気づきにくい
- 火の不始末:コンロの消し忘れなどは、センサーの種類によっては検知できない場合がある
- 受診の管理:病院に行けているか、薬が切れていないかは別の確認が必要
見守り機器は「何かがあったときに気づく」ための道具であって、生活全体を支えるものではありません。
また、カメラやセンサーを使うにはWi-Fi(インターネット回線)が必要な機器がほとんどです。 高齢者の世帯では自宅にインターネット契約がないケースもあります。 機器を検討する前に、まずネット環境があるかどうかを確認しておきましょう。
「監視」にならないための大切な3つのこと
見守り機器は、家族の不安を減らすためだけではなく、本人ができるだけ自宅で安心して暮らし続けるための道具でもあります。 機器選びと同じくらい、どう導入するかが大事です。 わたしがご家族に伝えているポイントを3つ紹介します。
① 必ず本人に話して、同意を得る
「勝手に付けた」は、関係を壊すことがあります。 「心配だから見ていたい」ではなく、「何かあったときにすぐ気づけるようにしたい」 という気持ちを正直に伝えましょう。
カメラであればどこに向けるか、映像は誰が見るかも一緒に決めると安心してもらいやすいです。
② 見る目的を「確認」ではなく「安心」に
「ちゃんとやってるか確認する」という視点でいると、どうしても監視になってしまいます。 「今日も元気そうでよかった」と思えるくらいの距離感が、お互いにとってちょうどいい関係を保ちます。
③ 「異常がなければ連絡しない」を決める
毎日「カメラで見たよ、大丈夫だった」と電話するより、 「何かあったときだけ確認する」ルールを決めるのが、本人の自立感を守ることにつながります。
どのタイプが向いているか、簡単に整理すると
どの機器が正解というわけではなく、親御さんの性格や生活スタイルによって向いている方法は変わります。 下の表はあくまで目安として参考にしてみてください。
| タイプ | こんな方に向いている |
|---|---|
| カメラ型 | 倒れていないか心配・夜間の様子が気になる・本人が同意している |
| センサー型 | 生活リズムの変化を知りたい・カメラに抵抗がある |
| 家電の使用感知型 | 機器が苦手・日常の安心確認レベルでいい |
組み合わせることもできます。 たとえば「センサー型で日常の動きを確認しながら、必要時のみカメラを活用する」という使い方も可能です。
まとめ
見守り機器は便利な道具ですが、機器だけに頼ればすべて安心、というわけではありません。 電話一本、月に一度の訪問、近所の方との日頃のつながり——そういった人による見守りと組み合わせることがとても大切です。 地域包括支援センター・ケアマネジャー・親族・近隣の方など、機器と人の両方で支えていく視点を持っておいてほしいと思います。
見守り機器は、今も種類が増えていてサービスの内容も変わります。 具体的な製品選びや費用については、最新の情報を確認しながら進めてください。 また、認知症の進行具合や住環境によって向き・不向きも変わりますので、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターにも相談しながら進めることをおすすめします。
機器のご利用はご家族の判断と責任のもとでお願いします。 この記事はあくまで「こんな選択肢があります」という情報提供です。
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現役のケアマネジャー(主任介護支援専門員)。在宅介護の家族に「ちょっと隣にいる人」がいたらいいなと思ってこのブログを始めました。猫のこまりとお届け中。
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