同じデイサービスでも中身は全然違う。事業所は「得意分野」で選ぶ
「デイサービスに通うことになった。でも、どこにすればいいんだろう」
ケアマネジャーからいくつか名前を挙げてもらっても、正直、違いが分かりませんよね。 パンフレットを見比べても、どれも似たようなことが書いてある。
でも、じつは——デイサービスは、事業所ごとに得意なことが全然違います。
それを知っておくと、選ぶときの見方がぐっと変わります。 今日は、その話をじっくりしていきます。
事業所によって、得意なことがこんなに違う
同じ「デイサービス(通所介護)」という名称でも、力を入れているところは事業所ごとにまったく異なります。
たとえばこんな違いがあります。
- 認知症ケアが専門で、物忘れがある方への声かけや関わり方に慣れている
- リハビリに力を入れている。理学療法士や作業療法士が在籍し、体の機能を保つことを重視している
- 医療的な対応ができる。看護職員がいて、インスリンの注射や、たんの吸引などが必要な方も受け入れている
- 小規模でアットホーム。大人数が苦手な方や、静かな環境が合う方に向いている
- 外出のレクリエーションに力を入れている。買い物や季節の行事、ドライブなど、外に出る機会が多い
- 食事が自慢。手作りにこだわっていたり、行事食を大切にしていたり
- お風呂が魅力。温泉を引いているところや、大きな浴槽でゆったり入れるところも
- 元気な方が多く、にぎやか。麻雀やカラオケ、囲碁・将棋など、趣味を楽しめるところ
- 看取りまで関わる。状態が重くなっても、できる限り在宅で支えることを大切にしている
「こんなに違うの?」と思われたかもしれません。そうなんです。地域によっては、本当にいろいろな特色のデイサービスがあります。「介護を受けに行く場所」というより、「その人が楽しみに通える場所」を探す——そういう選び方もできるんです。
訪問介護(ヘルパーさんが家に来るサービス)も同様で、「生活援助(家事)が中心」のところもあれば、「身体介護(入浴・排泄)に慣れたスタッフが多い」ところもあります。
とくに医療的なケアが必要な場合は、事業所選びが重要です。インスリンの注射のように看護職員でなければできないこともありますし、たんの吸引は、研修を受けたスタッフがいて事業所が届け出をしている場合に対応できます。デイサービスの看護職員の配置は事業所の規模によっても違うので、「うちの親はこういう医療的なケアが必要なのですが、対応できますか?」と、具体的に確認することが大切です。
「うちの親はこういう人」を伝えると、探しやすい
ケアマネジャーは制度やサービスに詳しく、ご家族はご本人のことをいちばん知っています。お父さん・お母さんが何を楽しみにしているか、どんな場所が落ち着くか——それを知っているのは家族です。
だから、こんなふうに教えてもらえると、ぴったりの事業所を探しやすくなります。
「父は人が多い場所が苦手で、静かな環境の方が落ち着くんです。そういう事業所はありますか?」
「母はできるだけ体を動かしたいと言っています。リハビリに力を入れているところはありますか?」
「昔から麻雀が好きなんです。そういうことができるところ、ありますか?」
かしこまらなくて大丈夫です。「こういうのが好きで」「これは苦手みたいで」——そのまま話してもらうのが、いちばん役に立ちます。
見学のときに何を見ればいいかは、デイサービスの選び方。見学のときに見るべき7つのポイントにまとめています。あわせて参考にしてみてください。
自分でも調べられる。「介護サービス情報公表システム」を使ってみる
「近くにどんな事業所があるんだろう」と気になったら、自分で調べることもできます。
厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」というサイトがあり、全国の介護事業所の情報を無料で検索できます。
使い方はシンプルです。
- 都道府県とサービスの種別(デイサービス、訪問介護など)を選ぶ
- 市区町村や地域名で絞り込む
- 気になる事業所の詳細ページを開く
詳細ページには、こんな情報が載っています。
- 職員の体制:介護職員の人数、資格の有無、理学療法士や看護師が在籍しているかなど
- 営業時間・定員数:何人規模の施設か、何時まで対応しているか
- 力を入れている分野や取り組み:認知症ケアへの取り組み、リハビリの実施状況など
- 開設年:いつからやっている事業所か(ひとつの参考にはなりますが、それだけで良し悪しは判断できません)
ただし、ここで分かるのは「数字や体制」まで。実際の雰囲気や、職員さんが利用者にどう関わっているかまでは分かりません。気になる事業所が見つかったら、ぜひ見学に行ってみてください。第一歩の下調べとして使う、くらいがちょうどいい距離感です。
「手厚さ」だけで選ばない、という視点
もうひとつ、選ぶときに持っておいてほしい視点があります。
それは「本人ができることを、大切にしてくれるか」です。
「たくさん面倒を見てくれるところが良さそう」と感じるのは自然なことですが、着替えに少し時間はかかるけれど自分でできる、支えがあれば歩ける——そんなとき、本人のペースを待ってくれるかは、事業所の考え方によって違います。
介護では、「できることを続けられるように支える(自立支援)」という考え方がとても大切です。
本人が「できた」という経験を積み重ねられるかどうかは、その後の暮らしに大きく影響します。できることが減っていくのは、体の力だけでなく、気持ちの張りも少しずつ奪っていってしまうからです。
見学のときや相談のときには、「うちの親の場合はどうか」を伝えてみてください。
「うちの母、着替えに時間はかかるんですが自分でできるんです。そのあたり、どんなふうに関わってもらえますか?」
こう伝えておくと、その人に合った関わり方を一緒に考えてもらえます。それに、この会話がそのまま「本人のことを知ってもらう」機会にもなります。
もちろん、何をどこまで自分でやってもらうかは、その日の体調や安全とのバランスもある専門的な判断です。気になることが出てきたら、そのときもスタッフやケアマネジャーに相談してみてください。
最初から完璧に決めなくて大丈夫
ここまで「選び方」の話をしてきましたが、最後にひとつ。
一度決めたら、もう変えられない——ということはありません。
実際に通ってみないと分からないことは、たくさんあります。雰囲気、他の利用者さんとの相性、スタッフとの呼吸。「思っていたのと違ったな」ということも、ふつうにあります。
そういうときは、ケアマネジャーに話してみてください。別のところを一緒に探せます。伝え方に迷ったら、こんな言い方で大丈夫です。
「通ってみたんですが、本人にはちょっと合わないみたいで。もう少し◯◯(例:静かな雰囲気/体を動かせる)ところを探せますか?」
大事なのは、本人が「行きたい」と思える場所に出会うこと。そのために試したり変えたりするのは、まったく問題ありません。むしろ、そうやって見つかることのほうが多いくらいです。
まとめ
デイサービスは、ただ介護を受けに行く場所ではありません。 お風呂が気持ちいい、ごはんがおいしい、仲間と麻雀ができる——そんな「行くのが楽しみな場所」になることもあります。
「こういうところがいいな」という気持ちが浮かんだら、担当のケアマネジャーに話してみてください。 そこから、選択肢が広がっていきます。
家族からよく聞かれる質問
希望を伝えるとき、どんなふうに言えばいいですか?
かしこまらなくて大丈夫です。「本人はこういうことが好きで」「こういう場所は苦手みたいで」——そのまま話してもらうのが、いちばん役に立ちます。
ケアマネジャーは、本人と家族の希望に沿ってプランを作るのが仕事です。具体的に教えてもらえるほど、合う事業所を見つけやすくなります。「わがままかな」と思うようなことでも、遠慮なく言ってみてください。
見学は、してもいいものですか?
もちろんです。むしろ見学はおすすめです。パンフレットや情報サイトでは分からない雰囲気が、行ってみると一気に伝わってきます。
「見学したいのですが」とケアマネジャーに伝えれば、日程を調整してもらえます。可能なら、ご本人と一緒に行けるといちばんです。
介護サービス情報公表システムで調べた内容は、信頼できますか?
事業所が届け出た情報をもとに作られているため、最新の状況と多少ずれがある場合もあります。ただ、職員体制・開設年数・取り組みの方向性など、事業所の「大まかな性格」を知るには十分な情報量があります。あくまで「第一歩の調査」として使い、気になった事業所には見学に行くのがおすすめです。
一度利用を始めた事業所を変えるのは、手続きが大変ですか?
基本的には、担当のケアマネジャーが調整してくれます。まずは「変えたい」と伝えてみてください。そこから、新しい事業所を探す・見学する・切り替える、という流れを一緒に進めてもらえます。
ただ、場合によっては少し時間がかかることもあるので、「今すぐ辞めたい」という事情があるときは、その旨もあわせて伝えておくとスムーズです。
複数の事業所を並行して使うことはできますか?
できる場合があります。たとえば「週2回はリハビリ中心のデイサービス」「週1回は別のデイサービスで気分転換」という使い方をされている方もいます。組み合わせを工夫することで、本人の状態や希望に合ったケアがしやすくなることもあります。
ただ、いくつか押さえておきたい点があります。
- 介護保険で使える上限(区分支給限度額)の範囲内という点は変わりません。事業所を増やせば使える量が増える、というわけではありません
- 「なぜ2か所を使うのか」という理由(必要性)を、ケアプランのなかで整理する必要があります
- 市区町村によって、考え方や運用が異なることがあります。地域のルールで、より詳しい説明を求められる場合もあります
そのため、「必ずできます」とは言い切れません。「こういう使い方をしてみたいのですが、できますか?」と、担当のケアマネジャーに相談してみてください。地域の実情を踏まえて、一緒に考えてもらえます。
現役のケアマネジャー(主任介護支援専門員)。在宅介護の家族に「ちょっと隣にいる人」がいたらいいなと思ってこのブログを始めました。猫のこまりとお届け中。
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