介護の仕事

うちのリーダー、しんどそう。私にできることある?

うちのリーダー、しんどそう。私にできることある?

「手伝いたいとは思うんだけど、余計なことをして怒られるのも怖くて」

「リーダーのやり方があるだろうから、口を出したら迷惑かな…」

そう感じたまま、なんとなく遠巻きに見ている――そんな日が続いていませんか。

今日は、フォロワーシップという言葉を切り口に、「動きたいけど動けない」を抜け出すヒントを話します。難しい理論じゃなく、明日の朝礼から使える話です。

とも
とも
こんにちは。今日は介護の現場で働く方に向けて書きます。「リーダーをうまく支えたい、でもどうしていいかわからない」という方、ちょっと読んでいってください。
こまり
こまり
リーダーさんって大変そうだなぁといつも思う。でも、まわりの人に何かできることって、あるの?
とも
とも
あるんです。それが今日の話の核心で。リーダーを支えることは「おつかい」や「指示待ち」じゃなくて、自分から考えて動くことなんですよね。

いいチームは「いいリーダーがいるチーム」ではない

同僚に声をかける介護スタッフの女性

ちょっと考えてみてほしいのですが、あなたが「いいチームだったな」と思う職場って、どんな感じでしたか?

「頼れるリーダーがいた」という答えは多いと思います。でも振り返ってみると、そのリーダーを支えていたメンバーがいたことに気づくことも多いはずです。

リーダーひとりが頑張るチームは、リーダーが疲れたとき、チームごと止まってしまうことがあります。 でも、メンバーが「ここは自分が引き受けます」「先に伝えておきました」と動けるチームは、誰かが少し弱っていても、なんとか回っていく。

この状態を属人化といいます。あの人しか分からない、あの人がいないと止まる。介護の現場だと、記録のチェックも、ご家族からのクレームも、急な欠員のやりくりも、他職種との調整も、気づけばリーダーひとりに集まっています。

しかも、集まりすぎていることは、本人が倒れるまで誰にも見えません。

そこに「ちょっとこれお願いしていい?」と相談できる人が周りにいるかどうかで、リーダーの消耗はずいぶん変わります。「いいチームを作るのはリーダーの仕事」という空気は、半分しか正しくないと思っています。

そして、ここからが本当のところです。しんどそうなリーダーのまわりは、けっこうみんな見て見ぬふりです。自分には関係ない、という空気になる。責める気にはなれません。立場が違うと、その人が何を抱えているのかは、本当に見えないからです。

これまで見てきて思うのは、見えている人がひとりいるチームは、やっぱり違うということです。


フォロワーシップって、忖度じゃないの?

簡単に言うと、自分の頭で考えて、チームのために自分から動く力のことです。

大事なのは「自分の頭で考えて」のほう。リーダーと違う考えを持つことも、ここに入ります。

よく取り違えられるのが、この2つ。

  • リーダーの言うことをぜんぶ聞く → これは忖度や指示待ちです
  • リーダーに気を使って、意見を飲み込む → これは沈黙であって、支えじゃないです

フォロワーシップは、リーダーに「いい顔をする」ことではありません。困っていたら声をかける、先回りして動く、気づいたことを伝える。自分発で動くことです。

さっきの属人化でいえば、ひとりに集まりすぎたものを、少しずつほどいていく動きです。全部を引き取る必要はありません。ほどけるところから、ひとつずつでいい。

人を育てる側にまわると、よく分かります。強いのは自分で考えて動ける人です。なんでも聞くのではなく、まず自分で調べてみる人。

不思議なもので、そういう人は質問も上手なんです。調べたうえで残った「ここが分からない」だけを持ってくるから、本人がいちばん早く前に進みます

こまり
こまり
あれ、それって「いい部下」っていうより、ほとんど「いい仲間」みたいな話じゃない?
とも
とも
そうそう、それが近いんです。上下じゃなくて、役割が違うだけ。ひとつのチームとして動く感覚です。

明日からできる、3つのステップ

記録をまとめる介護スタッフの穏やかな表情

「動きたいけど動けない」の正体は、やる気ではなく順番だと思っています。いきなり動こうとするから、余計なことになるか、結局なにもしないまま一日が終わる。

わたしは、見る・考える・動く、の順で考えるようにしています。

ステップ1.見る

リーダーが今日、なににいちばん時間を取られていたか。ひとつだけ挙げてみてください。

すぐに出てこなくても、それが普通です。立場が違うと、その人が何を抱えているのかは、本当に見えない。見えないから、まわりは見て見ぬふりになります。冷たいわけではありません。

だから最初の一歩は、手を出すことではなく、見ることだと思っています。1日ひとつで足ります。

ステップ2.考える

見えたら、次は「自分ならどうするか」を持つ

ここが、フォロワーシップと指示待ちの分かれ目です。リーダーと違う考えでかまいません。むしろ、同じ場所に立っていない人の見え方だから、気づけることがあります。

正解を出す必要はありません。「自分はこう思う」があるかどうかだけです。

ステップ3.動く

考えを持ったら、動きます。動き方は2つあります。

自分の裁量でできることなら、やってしまう。

「その記録、わたしがまとめておきますね」

「◯◯さんのバイタル、今日はわたしが測っておきます」

自分では決められないことなら、言葉にして渡す。

「こう思うのですが、どうでしょう」


ここまで読んでも、まだ「でも、余計なことだったらどうしよう」と思っているかもしれません。

これまで見てきて、よかれと思って動いて裏目に出た人は、ほとんどいませんでした。動いた人が責められる場面より、誰も動かないまま一人が静かに潰れていく場面のほうを、ずっと多く見ています。

やり方が少しずれていたなら、その場で「ここはこうしてほしい」と言われるだけです。言われたら直せばいい。それはもう、チームとして動いている証拠です。


これって、実は自分のためでもある

ここまで「リーダーのために」と読んできた方に、逆の話をします。

まわりを見ていて思うのは、自分から動ける人ほど、本人が楽そうだということです。

先回りするクセがついた人は、「これ、どうすればいいんだろう」と立ち止まっている時間が短い。「怒られるかな、余計かな」と考えている時間も短いように見えます。

そして誰かが一人で抱え込む場面が減れば、現場全体が少し軽くなります。それは自分にも返ってきます。

それに、いま誰かひとりに集まっているものが、いつか自分のところに来ることもあります。人が入れ替われば、役割も動きます。そうなったとき、まわりが同じように動いてくれる職場かどうかは、いまの自分たちの動き方で決まります。

人のためというより、自分がこれから働く場所を、先に整えておく話だと思っています。

こまり
こまり
つまり、「リーダーを助けよう」と思って動くと、結果的に自分も楽になるってこと?
とも
とも
そうです。「いい人」になろうとしなくていい。自分も含めたチームを動きやすくする、くらいの感覚で十分です。

リーダーは、やりたくてなった人ばかりじゃない

最後に、いちばん知ってほしいことを書きます。

「向いてないのに押し付けられた」「断れなくてなってしまった」。介護現場のリーダーには、そういう人が少なくありません。

だから、うまくまわせていないように見えても、力不足ではないことが多い。ひとりで背負いすぎているだけです。

そもそもリーダー1年生に、どうすればいいかなんて分かるわけがない。誰かがきちんと教えてくれるわけでもないまま、ある日から全部を任されます。

だからチームのみんなが、「嫌なリーダーを、やってもらっているんだ」という気持ちを持てるかどうか。そこがいちばん大きいと思っています。

リーダーをやっていると、2番手がいてくれたら心強いなと思うことがあります。右腕、という言い方でもいいと思います。全部を代わってくれる人のことではありません。「この人には言える」と思える相手がひとりいるかどうか。それだけで、ずいぶん違います。

その一人になるのに、資格も経験年数も要りません。

その人の隣で「これ、わたしがやります」と手を挙げられる人がいるチームは、強い。

「うちのリーダー、しんどそうだな」と感じた日は、まず一言だけ声をかけてみてください。


まとめ

こまり
こまり
えーっと、今日の話をまとめると……「いいチームはリーダーだけでは作れない」「フォロワーシップは忖度じゃなくて、自分から考えて動くこと」「明日やることは、見る・考える・動く、の順番」で、しかも「それが回りまわって自分も楽になる」ってこと?
とも
とも
完璧です。難しく考えなくていいんです。明日の朝、いつもより一言多く声をかけてみる。それだけでいいと思います。「手伝いたいけど怒られるのが怖い」という気持ちは、動き出してみると意外とすっと消えることが多いですよ。

よくある質問

とも
とも
最後に、よくいただく質問にいくつかお答えいたします。

リーダーが「自分でやるから」と言ってくる場合、どうすればいいですか?

一度断られても、それで終わりにしなくていいと思います。「そうですか、でも何かあれば言ってください」と残しておくだけでも、リーダーには届いています。何度でも声をかけてくれる人がいると、こちらは助かります。無理に引き取ろうとしなくて大丈夫です。

リーダー側の本音も書いておきます。自分でやったほうが早い——正直、そう思っています。わたし自身、今でもそうです。忙しくなればなるほど、その気持ちは強くなる。でもあとになって、部下の成長のために振らないといけなかったなと後悔することもある。断られたのは、あなたが信用されていないからではありません。

勇気を出して声をかけたのに、素っ気なくされました。

それは落ち込みます。ただ、素っ気なく返ってきたからといって、あなたの動きが間違っていたとは限りません。手一杯なときは、やわらかく返す余裕そのものがなくなります。返ってきた反応だけで、自分の動きの良し悪しを決めなくていいです。その日は少し距離をおいて、翌日また普通に一言かけてみる。それで十分だと思います。ただ、強い言い方が続くようなら、それはあなたの動き方の問題ではありません。管理者や上司に相談していい話です。

先輩や上司が苦手で、声をかけにくいです。どうしたらいい?

いきなり「何か手伝えますか」と直接言うのが難しければ、まずは情報を渡すことから始めるのがおすすめです。「◯◯さんのことで気になる点があって」と業務の報告として話しかければ、声をかけやすくなります。人間関係ではなく、利用者さんを介して入っていく感じです。

自分もいっぱいいっぱいのとき、どうすればいいですか?

無理をしなくていいです。自分が余裕のないとき、できる範囲は狭くなっていい。まず自分が倒れないことも、チームへの貢献です。余裕があるときに一言多く動く、でいいと思います。フォロワーシップは「全力を注ぐこと」ではなく、「自分が動ける範囲で、考えて動くこと」です。

上司に意見を言って、関係が悪くなるのが怖いです。

これは正直、職場の文化にもよります。ただ、意見を「批判」ではなく「気づいたこと」として伝えるだけでも、受け取られ方がずいぶん変わります。「こうした方がいいと思います」より「こういうことがあったのですが、どうしたらいいでしょう」のほうが、話しやすくなることが多いです。問いかけの形で渡すと、対話になりやすいです。

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とも 現役・主任介護支援専門員

現役のケアマネジャー(主任介護支援専門員)。在宅介護の家族に「ちょっと隣にいる人」がいたらいいなと思ってこのブログを始めました。猫のこまりとお届け中。

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