こまり日記

ぴーちゃん、19年ありがとう。目が見えなくなっても、母のそばにいてくれた

ぴーちゃん、19年ありがとう。目が見えなくなっても、母のそばにいてくれた

こまりが来る前、うちには「ぴーちゃん」という猫がいました。 アメリカンショートヘア。グレーに黒い縞の、シルバータビーです。 19年、いっしょにいました。

今日は、その話をさせてください。


とも
とも
こまり、うちに来る前にね、ぴーちゃんという猫がいたんだ。19年間。
こまり
こまり
19年!? わたし、まだ1年ちょっとだよ。19年ってどのくらいだろ。
とも
とも
そう。ぴーちゃんはね、こまりとは全然ちがう猫だったんだ。

ぴーちゃんは、こんな猫だった

やたら喉を鳴らす猫でした。

撫でてあげると、ゴロゴロと低い音を立てて。そして喉を撫でてあげると、よだれがポタッと落ちるんです。うっとりしすぎて、自分でも気づいていないんでしょうね。

あれは笑いました。何度やっても、毎回ポタッときます。

じゃれることは、あまりありませんでした。おもちゃを投げても、ちらっと見て終わり。こまりみたいに飛びかかってくることは、ほとんどなかったです。「こっちが遊んでほしくても、そっちの都合でしょ」という顔で、ベッドに寝転んでいました。

そう、よく寝ていました。ベッドの真ん中で、お腹を丸出しにして。我が物顔で。

ソファの上で、お腹を出して気持ちよさそうに眠るぴーちゃん

こまりのことを思うと、ほんとうに対照的です。こまりは、すきあらば登る、走る、じゃれる、催促する。静かにしていると思ったら、どこかで何かを倒しています。ぴーちゃんは静かで、落ち着いていて、ゆったりとした、重みのある猫でした。

こまり
こまり
あの……わたし、うるさくてごめん。
とも
とも
いや、うるさくていいんだよ。それがこまりらしいんだから。

年をとっていく、ぴーちゃん

16〜17歳くらいから、だいぶ足腰が弱ってきました。

ぴょんと跳び乗れていた場所に、うまく上がれなくなって。後ろ足がふらつくようになって。ゆっくり、ゆっくり、歩くようになりました。

そして最後の1年くらいは、目が見えなくなっていました。

それでも、水飲み場の場所は覚えていたんです。壁に沿って、ゆっくり歩いて、ちゃんとたどり着いていました。

痙攣を起こすことも増えてきて、家族みんなが気にしながら見守る日々になりました。

「今年の夏、超えられるかなぁ」——そう家族で話していました。

夏を越すたびに、また越えたね、と思っていました。


そのころ、父が倒れた

ぴーちゃんが目の見えないまま過ごしていたころ、父が倒れました。脳梗塞で、入院が続いて、数カ月、家に帰ってきませんでした。

寂しがり屋の母は、ずっと夜も眠れない日々を送っていました。

昼間は気を張れます。でも、夜はそうはいきません。父のいない家で夜をやり過ごすのは、しんどかったと思います。

こまり
こまり
……お母さん、さびしかったんだね。

ぴーちゃんは、ずっとそばにいた

目も見えません。足元もおぼつきません。自分だって、もうそんな状態なのに。 それでも、母のいる場所へ来て、そばに座っていました。

何も分かってはいないんでしょうけど、健気にずっと寄り添っていました。

何かを分かっていたとは思いません。ただ、いた。ただ、いてくれた。 それだけで、母はどれだけ救われただろう、と思います。


父が退院して、1カ月ほどたった朝

12月4日の未明、ぴーちゃんは旅立ちました。

父が家に戻って、母が眠れるようになって。そのすぐあとでした。

きっと母を支えるために、頑張ってくれたんだと思います。

真相は定かではありません。猫に聞いても、答えてはくれませんから。 でも、そう信じている。それでいいと思っています。

毛布にくるまれ、静かに目を閉じているぴーちゃん

お骨の袋と、猫の絵の器、線香。そばにチュールが供えてある

チュールを供えました。ぴーちゃんが好きだったので。


それから数年たって、こまりが来た

こまりを迎えるときは、もう数年経っていましたからね。特にためらいはありませんでした。

ぴーちゃんのことを忘れたわけではありません。代わりにしたかったわけでもありません。ただ、また猫のいる暮らしがしたかったんです。

そうしたら、こんなに違う猫が来ました。

じゃれる。走る。登る。催促する。夜中に何かを倒す。なでると全力でゴロゴロする——でも、よだれは落としません。

ぴーちゃんとは、全然ちがいます。 でも、どっちも大事です。

とも
とも
ぴーちゃん、今までありがとう。
こまり
こまり
……なんかあったかいね。こまり、ともの家に来れてよかった。とも、これからもよろしくね。
🐾
とも 現役・主任介護支援専門員

現役のケアマネジャー(主任介護支援専門員)。在宅介護の家族に「ちょっと隣にいる人」がいたらいいなと思ってこのブログを始めました。猫のこまりとお届け中。

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