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地域包括ケアシステムってなに? 老後の不安は、なくなるのか

地域包括ケアシステムってなに? 老後の不安は、なくなるのか

「最近テレビで、地域包括システムっていう言葉を聞いたけど、なんのことか分からなかった。老後の不安がなくなるってこと?」

そんなふうに感じたことはありませんか。

年齢を重ねていくと、「介護が必要になったらどうしよう」「一人暮らしになっても大丈夫なのかな」「今の家で暮らし続けられるのかな」と、いろいろな不安が出てきます。

そんな老後の暮らしを支える仕組みとして、よく聞くようになったのが「地域包括ケアシステム」です。

でも、名前だけを聞いても、何をしてくれる仕組みなのか、自分や家族にどう関係するのか、なかなか分かりにくいですよね。

今日は、地域包括ケアシステムが何のためにある仕組みなのか、そして老後の不安は本当になくなるのかまで、一緒に整理していきます。


とも
とも
こんにちは。今日は、地域包括ケアシステムについてお話ししますね。
こまり
こまり
地域包括ケアシステムって、なんだか難しそうな名前だね。
とも
とも
そうですね。今日は、この仕組みが何のためにあるのか、老後の不安がなくなるのかどうかまで、一緒に整理していきましょう。

地域包括ケアシステムって、そもそも何?

住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体になったイメージ

地域包括ケアシステムとは、介護が必要になっても、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けられるように、住まい・医療・介護・予防・生活支援の5つを、地域の中で一体的に整えていく仕組みのことです。

こまり
こまり
5つも並んでるけど、結局どこに相談すればいいの?
とも
とも
その中心になっているのが地域包括支援センターです。市区町村が設置していて、高齢者の総合相談や、介護予防の相談などを幅広く受けています。全国に5,487か所あります(令和7年4月末時点)。

5つの要素を、もう少し具体的に言うとこうなります。

  • 住まい……自宅、あるいはサービス付き高齢者向け住宅など、暮らしの拠点そのもの
  • 医療……かかりつけ医、訪問診療、入院した病院など
  • 介護……訪問介護やデイサービスなど、介護保険で使えるサービス
  • 予防……介護が必要になる前の、体操教室や健康づくりの取り組み
  • 生活支援……買い物や見守りなど、介護保険の枠に入りきらない日常の支え

これらがバラバラに存在するのではなく、必要なときに組み合わさって届くようにする。厚生労働省の地域包括ケアシステムについてのページでも、この5つが一体的に提供される仕組みだと説明されています。

ただし、地域包括支援センターは「窓口の一つ」であって、そこだけがすべてを担っているわけではありません。このあとの節で、そのあたりも整理していきます。

なぜこの仕組みができたのか

ご家庭に伺っていて感じるのは、「住み慣れたところで、馴染みの人がいる環境って、それだけで大事なんだな」ということです。

遠方に住む家族にとっては、近くに引き取って一緒に暮らすほうが安心に思えることもあります。でも、ご本人にとっては、それが大きな環境の変化になることもあるんです。

だからこそ、暮らしの場所を変えなくても、必要な支えが届くように。そうした考え方から、地域での見守りも含めた地域包括ケアの仕組みがつくられてきました。

背景には、これから高齢者の数がさらに増えていくことや、一人暮らしの高齢者が増えていくことがあります。家族だけで、あるいは病院や施設だけで支えようとすると、どこかで無理が出てしまいます。だからこそ、地域全体で支え合う形に、少しずつ変わってきました。

住み慣れた場所や、知っている人がいる環境は、それだけで安心につながりますよね。そうした考え方が、この数年でずいぶん広がってきています。

窓口は一つじゃない。いろんなところが、必要に応じてつなぎ合っている

ケアマネジャー・地域包括支援センター・社協・行政などがつながっているイメージ

「地域包括」という名前から、どこか1か所に行けばすべて解決すると思われることがありますが、実際はそうではありません。ケアマネジャー、地域包括支援センター、社会福祉協議会、行政、医療機関など、いろんなところがそれぞれの役割を持っていて、必要なときに、必要なところ同士がつながり合っています。つなぐのはご家族ではなく、わたしたちの役目です。

たとえば、介護の相談で伺ったご家庭の中に、精神疾患に関わることが見つかった場合は、障害の担当につなぎます。地域包括支援センターと共同で動くこともあれば、行政や社会福祉協議会、精神科の病院とつながることもあります。

以前は、介護・障害・子育てといった分野ごとに窓口が分かれていて、支援がそこで止まってしまうことがありました。それを少しずつ解消していこうという動きも進んでいます。

こうしたつなぎ役を担っているのが、ケアマネジャーです。ご本人やご家族の暮らしの状況を一番近くで把握しているからこそ、どこにつなげば動きやすいかを判断できます。地域ケア会議という場で、医療・介護・行政の関係者が集まって、一人の方の支え方を一緒に考えることもあります。

窓口をひとつに絞る必要はありません。まず身近なケアマネジャーや地域包括支援センターに、気になっていることを話してみてください。ケアマネジャーが具体的にどんなことをしてくれるかについてはケアマネジャーって何をしてくれる人?はじめての相談の前に知っておきたいことで詳しく解説しています。

介護保険だけでは足りない場面では、社会福祉協議会やボランティアなど、地域の支え合いを頼れることもあります。その内容は介護保険のすき間を埋める「地域の手」。社協・シルバー人材・ボランティアで詳しく解説しています。

介護以外の困りごとも拾ってもらえる

介護の相談をきっかけに、そのご家庭が抱えている介護以外の困りごとが見えてくることもあります。

こまり
こまり
えっ、介護以外の困りごとも拾ってもらえるの? なんだかお得な気がする。
とも
とも
お得、というと少し違いますが(笑)。実際に、介護のご相談で伺ったご家庭で、家族の引きこもりなど、介護とは別の困りごとが見つかることもあるんです。

ケアマネジャーは、ご本人だけではなく、そのご家庭の生活状況や家庭環境についても、日々の関わりの中で把握していきます。その中で別の困りごとに気づくこともありますし、地域で見守りをしてくださっている民生委員とのつながりから分かることもあります。

もちろん、介護保険ですべての困りごとに対応できるわけではありません。それでも、必要に応じて行政や地域包括支援センターなど、対応できるところへつないでいくことはできます。

こうして、介護だけで終わらず、必要に応じて他の機関とつながりながら支えていけることも、地域包括ケアの仕組みの良いところです。

「介護の相談だから、介護以外のことは話してはいけない」と考える必要はありません。生活の中で気になっていることや困っていることがあれば、それも一緒に話してみてください。必要に応じて、適切な人につないでくれます。

で、老後の不安はなくなるのか

ここまで地域包括ケアシステムについてお話ししてきましたが、では、この仕組みがあれば老後の不安はなくなるのでしょうか。

残念ながら、すべての不安がなくなるわけではありません。

年齢を重ねれば、病気や介護、お金のこと、一人暮らしへの心配など、さまざまな不安が出てきます。地域包括ケアシステムが、それらをすべて解決してくれるわけでもありません。

でも、困ったときに相談できる人がいて、自分たちだけでは解決できないことがあれば、必要な人や支援につないでもらえる。介護が必要になっても、医療や介護、地域の人たちがつながりながら、住み慣れた地域での暮らしを支えてくれる。

そう考えると、「何かあっても、相談できるところがある」と知っているだけでも、少し安心できるのではないでしょうか。

不安をなくすというより、一人で抱え込まなくていい状態にする。

それが、地域包括ケアシステムの大切な役割なのだと思います。

まとめ

こまり
こまり
つまり、地域包括ケアシステムは、住まい・医療・介護・予防・生活支援をまとめて支える仕組みで、窓口はひとつじゃなくていろんなところがつながっている。介護以外の困りごとも拾ってもらえて、不安をゼロにするというより、一人で抱えなくていい状態にするためのもの。こんな感じ?
とも
とも
そのとおりです。不安をゼロにする仕組みではなく、一人で抱えなくていい仕組み。そう考えていただくといいと思います。

地域包括ケアの仕組みは、これで完成というわけではありません。地域によってできることにも違いがありますし、まだまだ発展している途中です。

2021年4月からは「重層的支援体制整備事業」も始まりました。高齢者の介護、障害、子育て、生活困窮など、ひとつの制度だけでは解決しにくい困りごとを、分野を越えて支えていこうという取り組みです。

これまで以上に、困っている人を「それはうちの担当ではありません」で終わらせず、必要な人や機関につないでいく。そんな仕組みへと、少しずつ変わってきています。

これから先、地域包括ケアの仕組みもさらに良くなっていくと思います。それでも、どんな制度があっても、困っていることを誰かに伝えるところから支援は始まります。

一人で抱え込まなくていい、ということを、まずは覚えておいてもらえたらと思います。

気になることがあれば、身近なケアマネジャーか、お住まいの地域包括支援センターに、話してみてください。

ここまでの話を、1枚にまとめました。困ったときに、どこにつながれるかの目安にしてください。

一人で抱え込まなくていい。ケアマネジャー・地域包括支援センター・社会福祉協議会・市区町村・医療機関、困ったときにつながれる場所はいくつもある

この図を保存する(印刷用)

最終的なご判断は、担当のケアマネジャーや専門家にご相談ください。


よくある質問

とも 最後に、よくいただく質問にいくつかお答えいたします。

地域包括支援センターへの相談は、お金がかかりますか?

かかりません。相談は無料です。

「こんなことを相談してもいいのかな」という段階でも大丈夫です。介護が必要になってから利用する場所ではないので、介護保険をまだ使っていない方でも相談できます。

ただし、相談の結果として実際に介護サービスなどを利用する場合は、そのサービスの利用料は別にかかります。

何歳から相談できますか?

主な対象は65歳以上の高齢者とそのご家族です。ただし、40〜64歳の方でも、特定疾病によって介護が必要になった場合は、地域包括支援センターで要介護認定の相談ができます。

また、高齢の親について子どもから相談することもできます。「本人がまだ相談したがらない」「離れて暮らしていて生活の様子が心配」といった場合も、まずは地域包括支援センターに相談してみてください。

自分の担当がどこか分からないときは?

地域包括支援センターは、住んでいる地域ごとに担当が決まっています。

お住まいの市区町村のホームページで確認できるほか、市区町村の高齢福祉の窓口に問い合わせれば、担当の地域包括支援センターを教えてもらえます。

センターによって「地域包括支援センター」ではなく、自治体独自の名称が付いていることもあります。見つからない場合は、市区町村に「高齢者の相談窓口を教えてください」と聞けば大丈夫です。

すでにケアマネジャーが付いている場合、地域包括支援センターに相談してもいいですか?

問題ありません。

普段の介護サービスや生活についての相談であれば、まず担当のケアマネジャーに話してみるのがよいでしょう。

一方で、介護だけでは解決しにくい生活上の困りごとや、他の家族についての心配ごとなどは、地域包括支援センターに相談することもできます。

「これはケアマネジャーに話すことなのか、地域包括支援センターに話すことなのか」と、ご家族が最初から判断する必要はありません。迷ったときは、どちらか相談しやすいほうに話してみてください。必要であれば、適切な人や機関につないでもらえます。

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とも 現役・主任介護支援専門員

現役のケアマネジャー(主任介護支援専門員)。在宅介護の家族に「ちょっと隣にいる人」がいたらいいなと思ってこのブログを始めました。猫のこまりとお届け中。

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