在宅介護

ショートや施設の請求が高い…負担限度額認定で安くなるかも

ショートや施設の請求が高い…負担限度額認定で安くなるかも

「ショートステイを使ったら、請求書が思ったより全然高くて…」 「特養に入ったけど、毎月の費用がギリギリで続けられるか不安」

そういう声、ほんとうによく聞きます。

ショートステイを月に10日ほど使っていたご家族から、「請求書を見てびっくりした」と相談を受けることがあります。介護サービス費そのものは思ったほどでもないのに、食費と居住費(部屋代)が積み重なって、負担が大きくなっていたケースです。

そうなると、「こんなに高いなら、ショートステイを減らそうか」「施設に入れるのはうちには無理かもしれない」と考えてしまうご家族も少なくありません。でも、利用を減らすその前に、確認してほしい制度があります。

それが「負担限度額認定」です。所得が低めの世帯であれば、申請するだけで施設やショートステイの食費と居住費が大きく下がることがあります。知らないまま使っていないのは、本当にもったいない制度のひとつです。

これは主に、特別養護老人ホーム(特養)・老人保健施設(老健)・介護医療院・ショートステイ(短期入所)などを利用するときの食費・居住費が対象になります。

今日は、この制度をできるだけわかりやすく解説していきますね。


とも
とも
今日は「負担限度額認定」という制度の話です。ショートステイや特養(特別養護老人ホーム)などを利用している方の家族に、ぜひ知っておいてほしい内容です。
こまり
こまり
負担限度額認定?なんか難しそうな名前だね。申請すると何が変わるの?
とも
とも
簡単に言うと、「食費と部屋代を安くしてもらえる認定証」です。条件に合う方が申請すると、施設やショートステイでかかる食費・居住費(居室代)に上限が設けられて、自己負担額が下がります。
こまり
こまり
えっ、申請するだけで安くなるの?
とも
とも
条件が合えば、月単位で見るとかなり変わります。場合によっては月に数万円変わることもありますよ。

そもそも、食費・居住費はなぜ高い?

書類を見て安心する日本人女性

介護保険サービスを使うとき、サービス自体の料金(介護サービス費)は保険が効いて1〜3割の自己負担になります。

でも実は、食費と居住費(部屋代)は介護保険の給付対象外で、原則として全額が自己負担です。

だからショートステイや施設に入ったとき、

  • 「介護サービス費」の自己負担分
  • 「食費」の全額
  • 「居住費」の全額

これが合わさって、思った以上に高い請求になってしまうんです。

介護費用全体の仕組みについては 介護保険の自己負担はいくら?1割・2割・3割の決まり方と上限 でも詳しく解説しています。合わせて読んでいただけると、全体像がつかみやすくなりますよ。


負担限度額認定とは?

「介護保険負担限度額認定制度」(ながいので以下「負担限度額認定」と書きます)は、所得や資産が一定以下の方に対して、食費と居住費の自己負担に上限を設ける制度です。

認定を受けると「介護保険負担限度額認定証」が発行されます。この認定証を施設や事業所に提示することで、軽減後の金額が適用されます。

申請しないと自動的には適用されません。対象になりそうな方でも、申請しなければ通常の金額が請求され続けます。

こまり
こまり
自動で安くなるわけじゃないんだね…知らなかったら損しちゃう。
とも
とも
そうなんです。申請しないと適用されない制度なので、「使えるかも?」と思ったら早めに確認することが大切です。

対象になるのはどんな方?

窓口で相談する高齢者と家族

大きく2つの条件があります。

条件①:世帯全員が住民税非課税

ご本人だけでなく、同じ世帯の方全員が住民税非課税であることが必要です。

住民税非課税かどうかは、年金収入や所得の状況のほか、年齢・障害者控除・寡婦控除・お住まいの自治体などによっても変わります。世帯構成や自治体によって基準が異なるため、正確なところは市区町村窓口でご確認ください。

なお、世帯分離(ご本人と家族が住民票上の世帯を分けること)によって、条件に変わりが出るケースもあります。気になる方は 世帯分離で介護費用は変わる?手続きと注意点をやさしく解説 も参考にしてみてください。

ただし注意したいのが配偶者です。配偶者については、世帯を分けていても課税状況が見られます。たとえば夫婦で世帯分離をしても、配偶者に住民税の課税があれば対象外になります。「世帯分離すれば必ず安くなる」わけではないので、ここは窓口で確認しておくと安心です。

条件②:預貯金などの資産が一定以下

住民税非課税という条件に加えて、預貯金などの資産(配偶者がいる場合は合算)が基準額以下であることが必要です。

預貯金などの資産要件は、認定の段階によって基準額が異なります。いちばん上限が高い段階でも単身1,000万円以下・夫婦2,000万円以下ですが、多くの方が当てはまる段階では単身でおよそ500万〜650万円以下、夫婦で1,500万〜1,650万円以下と、もっと低い基準になります。ご自身がどの段階に当たるかは、市区町村窓口で確認するのが確実です。

こまり
こまり
つまり、「世帯みんなが住民税を払っていない」+「貯金がそこまで多くない」という2つが条件なんだね。
とも
とも
そうです、よくまとめてくれました。「うちはどうかな?」と思ったら、まずは窓口で確認するのが一番早いですよ。

こんな方は、一度確認してみる価値あり

次のどれかに当てはまるなら、対象になる可能性があります。

  • 年金を中心に生活している
  • ショートステイをよく利用している
  • 特養・老健などの施設に入所している
  • 施設やショートステイの費用が家計の負担になっている
  • 預貯金はそれほど多くない

ひとつでも「うちのことかも」と思ったら、相談だけでもしてみてください。


段階によって、いくら安くなる?

負担限度額認定では、所得・資産の状況に応じて「第1段階〜第3段階」に区分され、軽減後の上限額が決まります(課税世帯は第4段階で、軽減はありません)。段階が低いほど(第1段階は生活保護を受けている方などが対象で、最も低所得)、食費・居住費の上限が低く設定されています。

たとえばショートステイ(多床室)の場合、1日あたりの上限の一例は次のとおりです。

段階食費(1日あたりの上限)居住費(1日あたりの上限)
第1段階300円0円
第2段階600円370円
第3段階①1,000円370円
第3段階②1,300円370円

※ 金額は制度改正により変更されることがあります。上の数字は一例で、居室タイプ(多床室・ユニット型個室など)や施設の種類によっても変わります。最新の金額は、自治体や施設にご確認ください。

※ 表は「1日あたり」の金額です。たとえば1泊2日のショートステイなら、食費・居住費は2日分かかります。

なお、認定がない場合の食費・居住費は、施設との契約によって決まります。とくにユニット型個室などでは1日あたりの居住費が2,000円を超えることもあり、食費と合わせると1か月で10万円を超えるケースも珍しくありません。だからこそ、対象になりそうな方が認定を受けると、毎月の負担が大きく変わります。

ケースによって差はありますが、たとえばショートステイ(多床室)を月に10日ほど利用している方なら、認定を受けることで月に1〜2万円ほど負担が軽くなることもあります。利用日数や居室タイプが大きいほど、その差はさらに広がります。


どこで、どうやって申請する?

申請先は、ご本人が住んでいる市区町村の窓口です。

担当は「介護保険課」「高齢者福祉課」など自治体によって名前が違いますが、「介護保険の負担限度額認定について聞きたい」と言えば案内してもらえます。

申請に必要なものの目安

  • 介護保険被保険者証
  • 本人・配偶者の預貯金通帳のコピー(直近の残高が分かるページ)
  • 有価証券・投資信託などがある場合はその残高が分かるもの
  • 印鑑(自治体によっては不要)

必要書類は自治体によって多少異なるので、事前に電話で確認してから行くとスムーズです。

認定証の有効期限に注意

認定証の有効期限は、原則として毎年7月31日までです。有効期限が切れると自動更新されないため、引き続き利用する場合は毎年の更新申請が必要です。更新の案内が来たら忘れずに手続きをしてください。

とも
とも
実はこの制度、担当のケアマネジャーから「対象になるかもしれませんよ」と案内されることが多いんです。ケアマネは利用者さんの生活状況を把握しているので、対象になりそうな方に気づいて声をかけたり、申請の流れを一緒に整理したりします。そのうえで、正式な対象判定や預貯金の確認は市区町村の窓口で行います。
こまり
こまり
ケアマネさんが気づいて教えてくれることも多いんだね。それから市役所の窓口で正式に確認、という流れか。

まとめ:「申請するだけ」で変わることがある

とも
とも
今日の話をまとめますね。
こまり
こまり
わかった、こまりがまとめる。 ショートステイや特養では食費・部屋代は保険が効かないから全額負担になってて、それが高い理由なんだよね。 「負担限度額認定」は、住民税非課税世帯で預貯金が基準以下なら申請できて、食費・居住費の上限が決まって安くなる。 でも自動じゃなくて、市区町村の窓口に申請しないと始まらない。 ケアマネさんに相談すれば一緒に確認してもらえる、と。
とも
とも
完璧です。「うちは対象かも?」と少しでも感じたら、まず相談だけでもしてみてください。相談は無料ですし、対象でなかったとしても損にはなりません。
こまり
こまり
請求書を見て「高いな…」と思ったときは、自分だけで抱え込まなくて大丈夫。「うちは年金暮らしだから対象かも」と少しでも感じたら、一度確認してみるだけでも違うかもしれないね。

施設の費用は毎月のことなので、使える制度は早めに確認しておくのが安心です。

最終的な判断や手続きについては、担当のケアマネジャーや市区町村の窓口にご相談ください。ご家族の状況をよく知っている方と一緒に確認するのが、一番確実です。

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とも 現役・主任介護支援専門員

現役のケアマネジャー(主任介護支援専門員)。在宅介護の家族に「ちょっと隣にいる人」がいたらいいなと思ってこのブログを始めました。猫のこまりとお届け中。

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