在宅介護

介護保険料、払えていますか?滞納すると起きること

介護保険料、払えていますか?滞納すると起きること

「実家の郵便物を整理していたら、介護保険料の未納通知が出てきた。 一枚じゃなくて、何枚も…」

そんな経験をする家族の方は、思っているよりずっと多いんです。

親が郵便物を開けなくなっていた、年金から引かれているものだと思い込んでいた、 金額が変わって払い方が変わっていたのに気づかなかった。 気づいてみれば、かなりの期間が経っていた、という話は珍しくありません。

「放っておいたら、どうなるの…?」という不安のままでいるより、 今日まず「何が起きて、何をすればいいか」を知っておきましょう。

とも
とも
こんにちは。今日は介護保険料の「滞納」について話しますね。怖い話に聞こえるかもしれませんが、早めに動けば必ず対処できます。一緒に整理しましょう。
こまり
こまり
介護保険料って、払ってないとこまることがあるの?なんか通知が来てても、見ずに置いてそうな感じがするんだけど…。
とも
とも
そうなんです。じつは「気づかないうちに滞納」というのがよくあるパターンで。放置すると、いざ介護が必要になったときに自己負担が重くなってしまう場合があるんです。でも、ちゃんと相談の窓口もありますから、まず仕組みを知ってもらえると安心できると思います。

なぜ「気づかないうちに」未払いになるの?

郵便物を確認する中年女性の穏やかな様子

65歳以上の方の介護保険料は、年金から自動的に引かれる「特別徴収」が基本です。 でも、年金の受取額が一定以下だったり、年金の種類が変わったりすると、 口座振替や納付書での「普通徴収」に切り替わることがあります。

このとき、本人が気づかないまま納付書を放置してしまう、というケースがあります。

また、認知症が進んでいる親の場合は、 郵便物を開封しない・理解できない・払い忘れる、ということが重なりがちです。

介護保険料の仕組みや金額については、 介護保険の自己負担はいくら?1割・2割・3割の決まり方と上限 でも詳しく解説しています。「そもそも介護保険って?」という方はこちらも参考にどうぞ。

こまり
こまり
えっ、年金から引かれてるんじゃないの?急に納付書が来るの?
とも
とも
そうなんです。「ずっと年金天引きだった」という方でも、状況が変わると突然納付書が届くことがあって。それが開封されないまま積み重なるんですね。だから、実家の郵便物を家族が定期的に確認することが、じつはとても大切なんです。

滞納が続くと起きること(給付制限の仕組み)

介護保険料の滞納が続くと、いざ介護サービスを使うときに「給付制限」という措置がとられます。 「今すぐサービスが止まる」わけではありませんが、あとで効いてくるのがこの制度の怖いところです。

この給付制限は、滞納した期間に応じて、3つの段階が決められています(介護保険法で全国共通のルールです)。

①1年以上の滞納:いったん全額払いに(支払方法の変更)

介護サービスを使うとき、窓口でいったん全額(10割)を支払う形に変わります。あとで申請すれば保険給付分(通常の負担が1割の方なら9割)は戻ってきますが、いったん全額を用意する必要があるのが大きな負担です。

たとえば1か月に10万円分のサービスを使っていた方なら、窓口で10万円を払い、あとから9万円が戻ってくる——という形になります。

②1年6か月以上の滞納:戻ってくるお金が止まる(給付の一時差止)

上の「あとから戻ってくるはずのお金」が、一時的に差し止められます。さらに、その差し止められたお金が、滞納している保険料に充てられることもあります。

③納期限から2年を過ぎ、時効になった保険料がある場合:自己負担が3割に

ここがいちばん重い段階です。介護保険料には2年の時効があり、納期限から2年を過ぎると「払いたくても払えない」保険料になってしまいます。

滞納を始めて2年たった瞬間に一律にこうなる、というわけではありません。時効を過ぎて納められなくなった保険料がどれだけあるかに応じて、一定の期間、次の措置がとられます。

  • 自己負担が1割・2割の方は3割に、3割の方は4割に引き上げられる
  • 負担を軽くする制度が使えなくなる——高額介護サービス費(自己負担が上限を超えた分が戻る制度)のほか、高額医療合算介護サービス費や、施設に入ったときの食費・部屋代を軽くする特定入所者介護サービス費(補足給付)なども対象外になります

負担が重くなるうえに、それを助ける制度も使えない——という状態になってしまいます。


いちばん大事なのは、「2年の時効を過ぎる前に手を打つ」ことです。時効を過ぎた保険料は、あとから納めたくても納められません。逆に言えば、時効になる前に相談すれば、防げるということです。

「うちの親はどの段階?」は、市区町村の窓口で確認できます

こまり
こまり
なんか、ちょっとこわくなってきた…。たくさん滞納してたら、もう手遅れ?
とも
とも
落ち着いて大丈夫。まだ払える保険料が残っているなら、間に合います。ポイントは2年の時効で、それを過ぎていない分は今からでも納められるんです。今はまだ介護サービスを使っていない方でも、払えないまま時効になった期間があると、いざサービスを使うときに自己負担が重くなってしまう——だから「今は元気だから関係ない」ではないんですね。気づいたときが、動き時です。

ケアマネとして、実際に見てきたこと

正直にお伝えします。わたしも仕事のなかで、給付制限がかかっている方を担当することが、ときどきあります

そのとき何が起きるかというと、本当に必要なサービスが、経済的な理由で使えないのです。

デイサービスに週2回通ってほしいけれど、3割負担では月々の支払いが厳しくて週1回にせざるを得ない。ヘルパーを増やしたいけれど、これ以上は生活費が持たない。しかも、負担を軽くしてくれるはずの高額介護サービス費も使えない。

ケアプランを立てる側としては、いちばんつらい場面です。本人に必要なものが分かっているのに、お金の壁で組めない。ご家族も「あのとき、払っておけば」とおっしゃることが多いです。

だから、これだけはお伝えしたい。

役所からの書類って、見て見ぬふりをしたくなりますよね。難しそうだし、良い話が書いてある気がしないし、開けるのが少しこわい。その気持ちは、本当によく分かります。

でも、この封筒はあとで必ず効いてきます。しかも、効いてくるのは「介護が必要になった、いちばん大変なとき」です。

親御さんの郵便物を確認すること。未納があったら、早めに動くこと。地味ですが、これが将来の選択肢を守ります。


払えないときの相談先と選択肢

市区町村窓口で相談する親子の温かな場面

「滞納してしまった」「今後も払える自信がない」という場合、 まず市区町村の介護保険担当窓口(または納税課)に連絡するのが最初のステップです。

相談できる主な内容は以下のとおりです。

分割納付(分納)

一度に払えない場合でも、何回かに分けて納付できるよう相談に応じてもらえることがあります。 「いくらずつなら払えるか」を正直に伝えることが大切です。

保険料の減免・猶予

災害・失業・所得の急激な減少など、特別な事情がある場合には、 保険料を減額・免除してもらえる制度を設けている自治体もあります。 条件は自治体によって異なりますが、「減免の申請はできますか?」とひと言聞いてみるだけで、対象かどうかわかります。

早めに連絡すること自体が大切

介護サービスの給付制限とは別に、保険料の滞納には延滞金や滞納処分(差し押さえ)が行われることもあります。分割で納めている途中でも、状況によっては滞納処分が行われる場合はあります。「相談すれば絶対に差し押さえられない」ということではありません。

それでも、「無視する」より「連絡する」ほうが、選べる道は確実に増えます。まずは自治体に、納め方を相談してみてください。


実家の郵便物で気づいたときの動き方

「郵便物の山の中に未納通知があった」という場合、パニックにならず、 まず以下の順番で確認してみましょう。

① 通知の枚数と日付を確認する

複数枚あれば、いちばん古いものと新しいものを見て、 「いつ頃から滞納しているか」をざっくり把握します。

② 市区町村の介護保険担当窓口に電話する

通知に電話番号が書いてある場合は、そこに直接電話してもOKです。 「家族の代わりに相談したい」という場合でも、状況を説明すれば丁寧に対応してもらえます。

③ 親の口座・年金の受取状況も確認する

納付書が届いている場合は「年金天引きができない状況」になっていることが多いので、 年金の受取口座や残高も合わせて確認しておくと、窓口相談がスムーズです。

④ 無理のない範囲で分納か一括かを相談する

「全部まとめて払わなければ」と思い込まなくても大丈夫です。 分納できる可能性があることを知った上で、相談に臨んでください。


まとめ

とも
とも
まとめると、介護保険料の滞納は「気づかないうちに起きやすい」もので、1年・1年6か月と、期間に応じて負担が重くなっていきます。とくに納期限から2年を過ぎた分は、あとから納められません。逆に言えば、そこにたどり着く前なら、まだ手が打てるということです。怖がるより先に、窓口へ一本電話を。それだけで動きが変わりますよ。
こまり
こまり
つまり…「郵便物を開けずに放置」がいちばんまずくて、「窓口に相談する」がとにかく正解ってことだね。1年で全額いったん払い、1年半で戻りが止まって、納期限から2年を過ぎた分はもう納められなくて自己負担が3割。だから時効になる前に動く。分割できるかもしれないし、減免が使えるかもしれないし。まず電話一本、ってことか。

給付制限のルール自体は全国共通ですが、分納や減免の具体的な対応は、自治体によって少しずつ違います。 まずは市区町村の介護保険窓口(担当のケアマネジャーがいれば、その方にも)ご相談ください。 「今からでも相談できる」という一言を、覚えておいてもらえたら嬉しいです。


家族からよく聞かれる質問

とも
とも
最後に、この話をするとご家族からよく出てくる疑問を、いくつか紹介しますね。

親が認知症で、郵便物の管理ができていなかった場合も、滞納として扱われますか?

納付の義務は本人に生じているため、事情にかかわらず滞納として記録されます。

認知症などで郵便物の管理が難しかった事情も含めて、窓口には正確に伝えてください。ただし、事情を伝えれば必ず減免されたり、給付制限が解除されたりするわけではありません。制度上の「特別な事情」にあたるかどうかは、個別に判断されます。それでも、隠さずに正直に話すことが、使える制度を見つける近道です。

家族が代わりに窓口へ相談しに行くことはできますか?

「制度としてどうなっているか」といった一般的な相談は、家族でもできます。

ただし、滞納額など本人の詳しい情報を確認したり、手続きを進めたりするには、委任状や本人確認書類が必要になる場合があります。必要なものは自治体によって違うので、行く前に電話で「家族が代理で相談したいのですが、何を持っていけばいいですか」と確認するのがいちばん確実です。二度手間にならずにすみます。

滞納分を全額一括で払わないと、給付制限は解除されませんか?

滞納していた保険料を納め終われば、①いったん全額払い(支払方法の変更)や②給付の一時差止は解除されます。ただし、分割で納めている途中の場合は、滞納がどれだけ減ったかなどを見て、市区町村が解除を判断します。「一部払ったから自動的に解除」ではありません。「まとめては難しいんですが…」と、正直に相談してみてください。

ただし③の「自己負担が3割になる」措置だけは、あとから納めても取り消せません。これは納期限から2年の時効を過ぎて、もう納めることができなくなった保険料があるために起きるものだからです。だからこそ、時効になる前に相談することが何より大事なんです。

介護サービスをまだ使っていない段階なら、今すぐ困ることはないですか?

今すぐサービスが止まることはありません。でも、「今は元気だから関係ない」が、いちばん危ないパターンです。

というのも、③の給付制限は「時効で払えなくなった保険料がある人」に、将来サービスを使うときに適用されるものだからです。今この瞬間は何も起きていなくても、時効を過ぎた期間が積み重なっていると、いざ介護が必要になったときに自己負担が3割になり、高額介護サービス費も使えない——という形で効いてきます。

だから、サービスを使っていない今の段階こそ、いちばん動きやすいタイミングです。

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とも 現役・主任介護支援専門員

現役のケアマネジャー(主任介護支援専門員)。在宅介護の家族に「ちょっと隣にいる人」がいたらいいなと思ってこのブログを始めました。猫のこまりとお届け中。

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