在宅介護

病院のリハビリとデイケア、両方は通えない?保険の切り替えの話

病院のリハビリとデイケア、両方は通えない?保険の切り替えの話

「病院のリハビリ、そろそろ終わりですって言われた。まだ良くなりたいのに」

こう告げられた瞬間、頭の中が真っ白になる方は少なくありません。 「見捨てられた」「もうリハビリできない」と感じてしまう気持ち、すごくわかります。

でも、少し聞いてください。 “終わり”ではなく、“移る”だと思ってほしいんです。 今日は、病院のリハビリとデイケアのリハビリのちがい、保険の仕組み、そして移り変わりの時期に何をすればいいかを、一緒に整理しましょう。


とも
とも
こんにちは。今日は、ご家族からよく聞かれる「病院のリハビリが終わると言われた」という場面についてお話しします。焦らずゆっくり読んでいってくださいね。
こまり
こまり
えっ、リハビリって終わりがあるの? まだ良くなってないのに、打ち切られちゃうの?
とも
とも
"打ち切り"というより、"バトンタッチ"と思ってほしいんです。病院でのリハビリと、デイケアでのリハビリは、使う保険が違って、役割も少しずつちがいます。「終わった」のではなく「次の場所に移る」という話なんですよ。

病院のリハビリと、デイケアのリハビリは保険が違う

理学療法士と歩行リハビリに取り組む高齢男性

まず、根本のところを整理します。

病院(外来)でのリハビリは、医療保険を使います。 デイケア(通所リハビリテーション)でのリハビリは、介護保険を使います。

この二つ、同じ「リハビリ」という言葉でも、制度の入口がまったく別です。 だから、「どちらを選ぶか」ではなく、「今の状態と認定内容に合わせて、どちらが使えるか」という話になります。

要介護・要支援の認定を受けているかたが、同じ病気についてリハビリを続けていく場合は、原則として介護保険のリハビリへ移っていく仕組みになっています。 これは国の決まりで定められています。

つまり、要介護認定があるかたが「リハビリを続けたい」と思ったとき、メインの舞台は介護保険へと移っていくのが基本の流れです。


同じ病気について、両方をずっと続けることはできない

こまり
こまり
じゃあ、念のため病院のリハビリも続けながら、デイケアも通うっていうのはダメなの?
とも
とも
ここ大事なポイントです。同じ病気・同じ目的のリハビリを、医療保険と介護保険で並行して受け続けることは、原則できません。介護保険のリハビリ(デイケアや訪問リハビリなど)が始まると、その翌月から、同じ病気についての病院の外来リハビリは原則受けられなくなります。

ただし、移り変わりの時期には重ねられる期間があります。 病院とデイケアが別の場所なら、デイケアを始めた月と、その翌月・翌々月まで、別の日に両方を使えます(ただし翌月・翌々月は、病院で受けられるリハビリが月7単位までになります。リハビリは20分を1単位と数えるので、たとえば1回40分なら、おおよそ月3回程度が目安です)。 同じ病院のデイケアに移る場合は、翌月から病院のリハビリは受けられません。

それと、もうひとつ、あまり知られていない決まりがあります。 病院から介護保険のリハビリへの移り方について案内を受け、紹介されたデイケアなどを「体験」する目的で通う場合、病院でリハビリを受けた日とは別の日に、月5日を超えない範囲であれば、3か月以内に限り「介護保険のリハビリに移った」とはみなされません。 条件はありますが、病院のリハビリを続けたまま、デイケアを試してみることができるということです。 自分で見つけたデイケアに勝手に通う話ではないので、まずは病院とケアマネジャーに相談してみてください。

「今どうなのか」は、病院の担当リハビリスタッフ・主治医、そしてケアマネジャーに確認するのが一番確実です。

また、病院のリハビリには、病気ごとに続けられる日数の目安(標準算定日数)があります。 疾患の種類によって異なりますので、詳しくは主治医に「いまどのくらいの期間を見ていますか」と直接聞いてみてください。 ただし、状態や経過によっては期間を過ぎても続けられる場合もあります。「必ず終わる」というわけではありません。


中身はどう変わる?外来リハビリとデイケアのちがい

デイケア施設でスタッフと体操する高齢女性

「リハビリ」という言葉は同じでも、外来リハビリとデイケアは、雰囲気も内容もかなりちがいます。

病院の外来リハビリデイケア(通所リハビリ)
保険の種類医療保険介護保険
時間短時間(20〜40分程度が多い)1時間程度〜1日(事業所による)
主な内容1対1の訓練中心リハビリ+入浴・食事・送迎・レクなど
関わる人理学療法士・作業療法士などリハビリ専門職+介護スタッフ

外来リハビリは、専門職が集中してトレーニングする「訓練の場」です。 デイケアは、生活の場に近い形でリハビリを続けながら、社会参加や日常動作の維持・向上も一緒に目指す場です。

どちらが良い・悪いではなく、時期や目的によって向いている場所がちがう、と覚えてください。

どのデイケアにするかは、ケアマネジャーが勝手に決めるものではありません。 わたしの場合は、まず本人の意向を伺って、合いそうな事業所をいくつか提案します。 そのうえで、実際に見学に行っていただきます。行ってみて「ここは違う」と感じたら、別のところを見てもらってかまいません。

デイケアとよく混同されるデイサービスとのちがいについては、介護保険サービスにはどんな種類があるの?在宅・通い・泊まりのちがいもあわせて読んでみてください。


費用の考え方も変わる

こまり
こまり
費用はどうちがうの? 介護保険になったら高くなるの?
とも
とも
一概にどちらが高いとは言えないんですが、仕組みのちがいはあります。医療保険には「高額療養費制度」があって、月の自己負担が一定額を超えると払い戻しを受けられます。介護保険では「支給限度額」の範囲内でサービスを使う仕組みです。

病院の外来リハビリは医療保険の自己負担(1〜3割)で、高額療養費制度の対象です。 デイケアは介護保険の自己負担(1〜3割)で、ケアプランの支給限度額の枠の中で使います。 介護保険のほうにも、ひと月の自己負担が一定額を超えると戻ってくる高額介護サービス費という仕組みがあります。

どちらもお金の心配はゼロではありませんが、「介護保険になったら急に高くなる」というわけでもありません。 実際の費用感は、要介護度・利用頻度・施設によっても変わります。ケアマネジャーに「うちの場合はどれくらいかかりますか」と聞いてみるのが一番です。


「リハビリが減った=見捨てられた」じゃない

病院から「そろそろ終わりにしましょう」と言われると、つい「もう見てもらえない」と感じてしまいます。 でも、これはリハビリの”ステージが変わる”サインです。

急性期・回復期の病院でぐっと集中してリハビリをして、ある程度の状態に落ち着いたら、次は「生活の中でリハビリを続ける」フェーズに移ります。 デイケアや訪問リハビリはそのための場所です。

「もう良くならないから終わり」ではなく、「今の状態に合った場所に移りましょう」という意味です。


何を、誰に聞けばいいか

先に、ひとつ安心してほしいことがあります。家族がぜんぶ自分で段取りするわけではありません。 デイケアのように医療系のサービスを使うときは、ケアマネジャーが利用の可否を主治医に確認することになっています。医師や病院の事務の方と、直接やりとりすることもあります。 だから、家族が病院とデイケアの間に立って調整しなくて大丈夫です。

そのうえで、聞いておくと安心なことを整理しておきます。

主治医・病院のリハビリスタッフに聞くこと

  • 今の病気での外来リハビリは、いつまで続けられそうか
  • 介護保険のリハビリに移るタイミングをどう考えているか
  • 移行時期に並行できる期間はあるか

ケアマネジャーに聞くこと

  • 介護保険でどんなリハビリが使えるか(デイケア・訪問リハビリなど)
  • 支給限度額の中で、どのくらい組み込めるか
  • 移行のスケジュールを一緒に組んでほしい

ケアマネジャーがまだいない場合は、お住まいの市区町村の窓口か、地域包括支援センターに相談してみてください。

とも
とも
「病院のリハビリが終わりと言われて、どうしたらいいか分からない」という気持ち、そのまま主治医やケアマネジャーに伝えていいんです。「不安なんです」って言葉にすることで、一緒に次の道を探してもらえます。

まとめ

こまり
こまり
整理すると、こういうこと? 病院のリハビリは医療保険で、デイケアは介護保険。要介護認定がある人は介護保険が優先になる。並行して両方ずっとは原則できないけど、移り変わりの時期は重なれることもある。「終わり」じゃなくて「移る」ってことなんだね。
とも
とも
完璧な整理です。「リハビリが終わる」という言葉に焦らず、「次のリハビリの場所に移る準備をする」と捉えてほしいんです。主治医とケアマネジャーに、今感じている不安や希望をそのまま伝えてみてください。一人で抱え込まなくて大丈夫ですよ。

ここまでの話を、1枚にまとめました。印刷して手元に置いたり、ご家族で見ながら話すときに使ってください。

病院の外来リハビリからデイケアへ、リハビリのバトンタッチを説明した図

この図を保存する(印刷用)

この記事は医療上のアドバイスではありません。個別の状態や保険の適用については、必ず担当の主治医・ケアマネジャー・病院のリハビリスタッフにご相談ください。


よくある質問

とも
とも
最後に、よくいただく質問にいくつかお答えいたします。

病院のリハビリが終わると言われたのに、まだ介護保険を申請していません。どうすればいい?

まず、お住まいの市区町村の窓口か地域包括支援センターに連絡して、要介護認定の申請を相談してみてください。認定が出るまでに時間がかかる場合もあるため、「病院のリハビリが終わりそう」と分かった段階で早めに動くのがおすすめです。申請のサポートをしてくれる地域包括支援センターに、まず電話一本入れるだけでも大丈夫です。

デイケアとデイサービスはどう違うの?リハビリ目的ならどっち?

デイケア(通所リハビリテーション)は、医師とリハビリの専門職(理学療法士・作業療法士など)が関わりながら、リハビリを中心に提供しています。デイサービス(通所介護)は生活支援・レク・入浴が中心で、施設によっては機能訓練に力を入れているところもありますが、リハビリの体制はデイケアのほうが手厚いです。「リハビリを続けたい」という目的なら、まずデイケアを選択肢に挙げて、ケアマネジャーと相談してみてください。

病院のリハビリとデイケアを並行して使える期間があるとのことですが、具体的にどのくらい?

病院とは別の施設でデイケアなどを始める場合は、利用開始月と、その翌月・翌々月まで、別の日に両方を使えるのが目安です。ただし翌月・翌々月の病院でのリハビリは月7単位まで(20分を1単位と数えます)。同じ施設で介護保険のリハビリに移る場合など、扱いが違うこともあります。実際の日付は、病院の担当スタッフとケアマネジャーに確認してください。ケアマネジャーも一緒に動いてくれるので、一人で確認しようとしなくても大丈夫ですよ。

親が「病院じゃないと嫌だ」と言って、デイケアに行きたがらない場合は?

無理に連れて行くのはなかなかむずかしいですよね。まず「なぜ嫌なのか」を聞いてみてください。「知らない場所が怖い」「リハビリの質が下がりそう」など、理由によって対応は変わります。見学に一緒に行ってみるだけでも、イメージが変わることは多いです。ケアマネジャーに「本人が不安がっている」と伝えると、本人の気持ちに寄り添う形で一緒に探してくれます。

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とも 現役・主任介護支援専門員

現役のケアマネジャー(主任介護支援専門員)。在宅介護の家族に「ちょっと隣にいる人」がいたらいいなと思ってこのブログを始めました。猫のこまりとお届け中。

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