初めてのショートステイ、持ち物と契約の準備。前の日にあわてないために
「ショートステイ、来週からです。でも、何を持たせればいいのか分かりません」
「忘れ物をして、向こうで困らせたらどうしよう。そう思うと、荷造りの手が止まる」
初めてのときは、みなさんここで止まります。何をそろえればいいのか、どこにも書かれていないからです。
わたしは以前、ショートステイで働いていました。今日は、そのころに見ていたことも交えながら、契約の日に用意しておくものと、泊まる日に持っていくものを整理していきます。
そもそも、ショートステイとは
ショートステイは、介護保険で使えるサービスのひとつです。数日から数週間、施設に泊まって過ごすもので、正式には短期入所生活介護、短期入所療養介護といいます。
使う理由はさまざまです。家族が体を休めたい。冠婚葬祭や出張で家を空ける。家族のほうが入院することになった。どれも、遠慮せずに使っていい理由です。
利用するには要介護認定(要支援・要介護)を受けていることが前提になります。空いている日を探したり、日程を調整したりするところは、担当のケアマネジャーが間に入ってくれます。予約は2か月前から受けている施設が多いので、日程が決まっているなら早めに伝えておくと動きやすくなります。
サービスそのものをもう少し詳しく知りたい方は、こちらにまとめてあります。あわせて読んでみてください。
ショートステイって何?家族が休むために使っていい介護サービスです
泊まる前に、まず「契約の日」があります
申し込みをして日程が決まると、泊まる前に契約をします。施設の相談員の方がご自宅に来て、サービス担当者会議といっしょに契約をすませることが多いです。
サービス担当者会議というのは、担当のケアマネジャーが開く打ち合わせのことです。本人と家族、それから関わるサービスの人が集まって、これからの使い方を確認します。ショートステイが新しく入るときは、その場に施設の相談員も加わります。
わたしが立ち会うときも、たいていこうです。家族が施設まで出向かなくてすむので、仕事を休まずに間に合うことも少なくありません。
この日にすることは、大きく2つです。ひとつは、重要事項説明を聞いて、契約書に署名と押印をすること。もうひとつが、次にお話しする書類を見せて、写しを取ってもらうことです。
ひとつだけ、先にお伝えしておきます。契約の日は、書く書類がたくさんあります。名前や住所を何枚も書くことになるので、時間に余裕をみておいてください。
契約の日に用意しておくもの
何が要るかは施設によって違いますが、よく求められるのはこのあたりです。当日になって探しはじめると意外と見つからないので、前もって1か所にまとめておくと安心です。
- 介護保険被保険者証
- 介護保険負担割合証(1割・2割・3割が書かれたもの)
- 介護保険負担限度額認定証(お持ちの方だけ。食費や部屋代が下がります)
- お薬手帳、または今飲んでいるお薬が分かるもの
- 印鑑
そろえるものは施設ごとに違います。申し込みのときに「何が要りますか」と聞いておくと確実です。
泊まる日に持っていくもの
- 着替え(上下・下着・パジャマ)… 洗濯をしてもらえるので、2〜3着で足ります
- 履き慣れた靴… かかとがあって、脱げにくいもの
- 洗面用具… 歯ブラシ、コップ、入れ歯の洗浄剤
- タオル… 施設で用意しているところもあるので、先に確認を
- お薬… 1回に飲むぶんずつ分けて
- おむつ・パッド… 施設のものを使えます。持っていかなくて大丈夫です
- めがね・入れ歯・補聴器… ケースに入れて
お薬は、一包化(1回に飲むぶんを1袋にまとめること)がされていれば、そのまま持たせられます。かかりつけの薬局に頼めば、一包化してもらえることもあります。
一包化ができないときは、100円ショップで売っている小分け袋が使えます。チャックの付いた小さな袋に、朝・昼・夕と、飲むタイミングごとに分けてください。袋に「朝」「夕」と書いておくと、そのまま渡せます。
持ち物には、ひとつずつ名前を書いてください
ものの紛失は、どこの施設でも悩みごとです。ショートステイで働いていたころ、ご家族によくお願いしていたのが、これでした。
たくさんの方の洗濯物を一度に洗うので、名前がないと、どうしても混ざります。とくに下着・靴下・タオルは、見分けがつきません。
だから、上着だけでなく、ひとつずつ書いておいてください。
めがね・入れ歯・補聴器のように、本体に書けないものもあります。その場合はケースのほうに名前を書いて、本体と一緒に持たせてください。置き場所が決まるので、なくなりにくくなります。
服に直接ペンで書くのがためらわれるときは、洗濯で落ちにくい名前シールやアイロンプリントでもかまいません。書く場所は、洗濯タグの上や襟の内側など、外から見えないところで大丈夫です。
荷物は減らせます
まず、着替えは日数ぶん要りません。ほとんどの施設で洗濯をしてくれるので、2〜3着あれば足ります。1週間泊まるからといって、7日ぶん詰める必要はありません。
ただし、洗濯が有料のこともありますし、持ち帰りになる施設もあります。申し込みのときに確認しておくと、何枚用意すればいいかがはっきりします。
施設では業務用の洗濯機でまとめて洗います。家で洗うより生地が傷みますし、縮んでしまうものもあります。ウールやおしゃれ着のように洗濯機に弱い服は、家に置いておくほうが安心です。
そして、おむつやパッドは、利用料に含まれています。施設のものを使えるので、持っていかなくて大丈夫です。
タオルは施設によって違います。用意してもらえるところもあり、その場合は1回あたり100円ほどが目安です。何を用意してもらえて、いくらかかるのか。ここは施設ごとに違うので、契約の日に聞いてしまうのが早いです。
もうひとつ、持っていかないほうがいいものがあります。現金、通帳、印鑑、指輪などの貴重品です。施設からも、持ってこないでくださいと言われます。思い出の品や、なくすと本人が困るものも、家に置いておいてください。
家での過ごし方を、教えてください
荷物と同じくらい大事なのが、ふだんの過ごし方を伝えておくことです。
起きる時間、寝る時間。トイレの声のかけ方。食べるときのペースや、苦手な食べもの。お風呂に入る順番のこだわり。テレビをつけたまま眠る習慣。
特別なやり方をされている方は、遠慮なく教えてください。ショートステイで働いていたころ、できる限りお家と近い環境で過ごしていただきたいと思っていました。そのために役に立つのは、こまかい話です。「こんなことまで言っていいのかな」と思うようなことほど、助かりました。
ただ、施設の人手や決まりで、家と同じにはできないこともあります。それでも、伝えておけば、できる範囲で近づけてもらえることもあります。
口で伝えても、紙に書いて渡してもかまいません。書いておくと、その日いる職員だけでなく、交代で入る職員にも伝わりやすくなります。
帰ってくる日、様子を聞いてみてください
何を召し上がったか。よく眠れていたか。お風呂はどうだったか。誰かと話していたか。わたしが働いていたころは、こうしたことを帰りにお伝えしていました。
どこまで伝えてもらえるかは施設によって違います。気になることは、お迎えのときに聞いてみてください。
事業所によっては、写真を撮って渡してくれるところ、連絡帳を用意しているところ、LINEで様子を送ってくれるところもあります。家では見られない表情が写っていることもあって、受け取ったご家族が驚かれることもあります。
そして、この話は次に効いてきます。よく眠れていた、この食事は進んだ、この時間は落ち着かなかった。それが分かると、2回目の荷物も伝えることも、もっと本人に合わせられます。
まとめ
初めての荷造りは、誰でも手が止まります。でも、一度やってしまえば、2回目からはずいぶん軽くなります。
前の日に一人で抱え込まないでください。分からないところは、契約の日に遠慮なく聞いて大丈夫です。
ここまでの話を、1枚にまとめました。印刷して手元に置いたり、ご家族で見ながら話すときに使ってください。
最終的なご判断は、担当のケアマネジャーや専門家にご相談ください。
よくある質問
荷物は、どんなバッグに入れればいいですか?
ボストンバッグや、大きめの手提げ袋が使いやすいです。着替えが2〜3着なら、それほど大きなものは要りません。
ただ、バッグそのものにも名前を書いておいてください。また、施設によっては荷物を置いておく場所が限られていることもあるので、大きすぎるものは避けたほうが無難です。迷ったら、契約の日にどのくらいの大きさがよいか聞いてみてください。
契約には、本人も同席しますか?
基本は同席します。サービス担当者会議といっしょに行うので、本人・家族・担当のケアマネジャー・施設の相談員が、同じ場にそろいます。
ただし、本人の前では話しにくいことがある場合など、本人が同席しないこともあります。気になるときは、先に担当のケアマネジャーへ伝えておいてください。
当日は、どうやって施設まで行きますか?
施設に迎えに来てもらう方が多いです。送迎には加算がつきますが、1割負担の方で200円ほどが目安です。
ただし、迎えに来てもらうときは、家族が家で送り出すことになります。仕事などでそれが難しい場合は、家族が車で送っていくことになります。
荷物は、そのときに一緒に渡します。
現役のケアマネジャー(主任介護支援専門員)。在宅介護の家族に「ちょっと隣にいる人」がいたらいいなと思ってこのブログを始めました。猫のこまりとお届け中。
この人について →