ケアプランって何?誰が作って、お金はかかるの?
「ケアプランを作ります」「ケアプランに同意してください」――介護が始まったとたん、聞いたことはあるけどよく分からない言葉が次々と出てきますよね。
ケアプランは、介護サービスを使う上でとても大事なものです。でも難しく考えなくて大丈夫。今日は「そもそもケアプランって何?」「誰が作るの?お金はかかるの?」を、ひとつずつ整理していきます。
ケアプランって、具体的に何が書いてあるの?
ケアプランには、だいたい次のようなことが書かれています。
- 本人の生活の目標(「近所を一人で散歩できるようになりたい」など)
- 今どんな困りごとがあるか
- どのサービスを、週に何回、どんな内容で使うか
- 担当のケアマネジャーや各サービス事業所の情報
たとえば「週2回は訪問介護(ヘルパーさん)に来てもらって入浴介助をお願いする」「週1回は通所介護(デイサービス)に通って機能訓練をする」といった具体的な内容が、ケアプランという計画書にまとめられています。
サービスを使う前に、この設計図があるから、ヘルパーさんもデイサービスのスタッフも「この方にとって今何が必要か」を共有できるんですね。
誰がケアプランを作るの?費用は?
要介護1〜5の方はケアマネジャーが担当
要介護認定(要介護認定の申請から認定まで、家族がやることをやさしく解説もご参考に)で要介護1〜5と認定された方が、自宅で暮らしながらサービスを使う場合、担当のケアマネジャーがケアプランを作ります。
ケアマネジャーは「居宅介護支援事業所」という事業所に所属していて、そこに依頼する形になります。費用については冒頭でも触れましたが、ケアプランの作成費は介護保険から全額支給されるため、利用者・家族の自己負担はありません。
ただし、ケアプランを使って実際に利用するサービス(訪問介護やデイサービスなど)には、利用者負担(介護保険の自己負担はいくら?1割・2割・3割の決まり方と上限)がかかります。ここはときどき混同される方がいるので、念のため。
なお、特別養護老人ホームなどの施設に入所すると、計画を作る人が変わります。その施設に所属するケアマネジャーが「施設サービス計画」を作るので、窓口も担当者も入所と同時に切り替わる、と覚えておいてください。
要支援1・2の方は地域包括支援センターが窓口
要支援1・2と認定された方は、「介護予防ケアプラン」(介護予防サービス計画)という計画書が作られます。まず窓口になるのは地域包括支援センター(高齢者の暮らしのことを無料で相談できる、地域の総合相談窓口)です。
作る人はひとりに決まっているわけではありません。センターの職員が作ることもあれば、センターから委託を受けた居宅介護支援事業所のケアマネジャーが作ることもあります。さらに2024年(令和6年)4月からは、市区町村の指定を受けた居宅介護支援事業所が、委託という形をとらずに直接担当できるようにもなりました。
どちらの場合でも、計画づくりに利用者・家族の自己負担はかかりません。
家族の希望は伝えていい、というか伝えてほしい
ケアプランはケアマネジャーが「お任せで作るもの」だと思っている方もいますが、そうじゃないんです。
ケアプランを作るとき、ケアマネジャーはまず本人や家族の話をじっくり聞くところからスタートします。
- どんな生活がしたいか
- 家族が特に心配していること
- 使いたいサービス・使いたくないサービス
- 生活リズムや家族の都合
こういったことを伝えていくことが、ケアプランに反映されていきます。「こんなこと言っていいのかな」と遠慮しないで大丈夫です。ケアマネジャーは「希望を聞くのが仕事」の一部です。
わたしがケアプランを書くときに、気をつけていること
ここからは、ケアマネとして担当していて、わたし自身が心がけていることです。
正直に言うと、ケアプランは、ご本人があまり読まないこともあります。文字が多いですし、認知機能が落ちてきている方だと、内容を理解すること自体がむずかしいこともある。
でも、一生懸命に「自分のこと」として取り組もうとされる方は、本当によく読んでいらっしゃいます。
だから、わたしは書き方に気をつけています。
- できるだけ本人の言葉で書く
- 本人が前を向いて取り組めるように書く
- 本人がショックを受けるようなことは書かない
支援する側が管理するための書類ではなく、本人のための計画。そこは外さないようにしています。
ケアプランは「一緒に作るもの」です
ケアプランの1枚目には、こんな名前の欄があります。
「利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果」
長いですよね。でも、この名前がそのまま答えなんです。
希望をうかがって、では何に困っていて、それにどう取り組んでいくか。そこまで一緒に考えた結果を書く欄、ということです。
教えてほしいのは、「前を向ける話」です
ご本人が前を向けるような話を、教えてください。
昔から好きだったこと。長く続けていたこと。得意だったこと。
最初の聞き取り(アセスメント)のときでも、毎月の訪問(モニタリング)のときでも構いません。思い出したときに、ひとこと教えてもらえるだけで、その方らしい計画に近づいていきます。
ケアプランができたら「説明・同意・交付」のステップがある
ケアプランは、いきなり決まったものが届くわけではありません。まずケアマネジャーが原案を作り、本人と家族に内容を説明します。そのうえで「この計画で進めていいですか?」と確認して、同意のサインをいただく。同意がそろってはじめて、計画書が本人・家族と、実際にサービスを行う事業所に配られます。この配るところが交付です。
説明を受けているときに「内容が分からない」「もっとこうしてほしい」があれば、その場で遠慮なく言ってください。サインをしたあとで変えることもできますが、その場で言ってもらえるほうが早いですし、何よりそれが本来の姿です。
ケアプランは、一度作ったら終わりでもありません。決まりの上でも、ケアマネジャーには暮らしぶりを継続して確認する義務があります。これを「モニタリング」といいます。
要介護1〜5の方の場合は、原則として月に1回、ケアマネジャーが本人の様子やサービスの利用状況を確認します。ふだんは自宅を訪ねて顔を合わせますが、本人の同意など一定の条件を満たしたときは、オンラインで行うこともあります。要支援の方は、自宅への訪問が原則3か月に1回。訪問のない月は、電話などで様子をうかがいます。
「最近ちょっとしんどそう」「デイサービスを1回増やしたい」――こういう話は、その訪問のときに伝えてもらえれば十分ですし、待たずに電話してもらってもかまいません。
自分でケアプランを作る「セルフプラン」という選択肢
実は、ケアプランはケアマネジャーに頼まず、ご本人(実際にはご家族が手伝う形が多いです)が自分で作ることもできます。これをセルフプラン(自己作成)といいます。制度としてきちんと認められた道のひとつです。
やることは、サービス事業所を自分で探して直接やりとりすること、市区町村の窓口に計画を届け出ること、毎月の利用予定と実績を自分で管理すること。手間も知識もそれなりに必要になるので、実際に選ぶ方は多くありません。
「ケアマネジャーに任せると自分の希望が言いにくそう」というイメージから考える方もいますが、そこは心配しなくて大丈夫です。先ほどお伝えした通り、希望を聞くところからケアマネジャーの仕事は始まります。使うサービスが少なくて、時間と知識に余裕があるならセルフプランも選べますし、そうでなければケアマネジャーと一緒に作る。どちらを選んでもいい、というのがこの制度の形です。
まとめ:ケアプランは「設計図」、作るのはプロ、費用はかからない
ケアプランの内容や運用については、お住まいの地域や事業所によって細かい違いがある場合もあります。具体的なことは、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターにご確認いただくのが一番確かです。「こんな基本的なことを聞いていいのかな」という遠慮は無用です。ケアマネジャーはそのために存在しています。
また、ケアマネジャーの役割についてもっと詳しく知りたい方は、ケアマネジャーって何をしてくれる人?はじめての相談の前に知っておきたいこともあわせてご覧いただけると、より全体像が見えてきます。
よくある質問
ケアプランの内容に納得できないときは、変えてもらえますか?
はい、変えられます。同意のサインをしたあとでも、実際に暮らしてみて「やっぱり合わない」と感じたら、担当のケアマネジャーに伝えてください。ケアプランは状態や希望の変化に合わせて、途中で見直していくものです。言い出しにくければ、モニタリングで訪ねてきたときに「実はちょっと」と切り出すだけで十分です。
担当のケアマネジャーは、あとから変えられますか?
変えられます。同じ事業所の中で担当者を替えてもらう方法と、別の居宅介護支援事業所に依頼し直す方法があります。理由を細かく説明しなければいけない決まりはありませんし、それでサービスが止まることもありません。直接は言いにくいというときは、地域包括支援センターやお住まいの市区町村の介護保険の窓口に相談すると、間に入ってもらえます。
ケアプランに書いてあるサービスは、全部使わないといけませんか?
いいえ、お休みする日があっても大丈夫です。ただ、休むときは早めにケアマネジャーや事業所に伝えてください。急なキャンセルの扱いは事業所ごとに違いますし、お休みが続くようなら、それ自体が「今の計画が暮らしに合っていないサイン」かもしれません。そこから計画を見直す、という話にもなります。
使えるサービスの量に、上限はありますか?
あります。要介護度ごとに、1か月に介護保険を使える金額の上限(区分支給限度基準額といいます)が決まっていて、それを超えて使った分は全額が自己負担になります。ケアマネジャーはこの上限も見ながら計画を組み立てていますので、「もう少し増やしたい」と思ったときは、まず相談してみてください。上限の中でやりくりを工夫できることもあります。
現役のケアマネジャー(主任介護支援専門員)。在宅介護の家族に「ちょっと隣にいる人」がいたらいいなと思ってこのブログを始めました。猫のこまりとお届け中。
この人について →